研究課題
引き続き,非平衡ダイナミクスとして超高速分光におけるコヒーレントフォノンを対象に研究をすすめた.本年度は,散逸した量子系を解析するための手段として動的モード分解(DMD)を用いた解析手法を提案した.散逸量子系は非エルミートハミルトニアンによる複素エネルギーを用いた記述が試みられており,近年注目が集まっている.なかでも,フォノンと電子運動のプラズモンとの量子結合状態は現象論的非エルミート有効ハミルトニアンが提案されている.しかしながら,計測データから結合状態の固有振動を抽出と複素エネルギーに対応するパラメータの推定が困難であった.これは抽出したい固有振動が減衰振動となるためである.従来のフーリエ解析では周波数スペクトルが減衰のために広がりモードの特定と固有値の虚部に対応する減衰率の推定が課題だった.本研究はDMDが減衰振動の和として展開できることを利用してモードの抽出を行い,モードの周波数・減衰率から複素エネルギー固有値を推定する手法を構築した.実験データで解析を行ったところ,コヒーレントフォノン信号から結合モードの抽出に成功し,入射エネルギーと結合状態の複素エネルギー固有値の関係を明らかにした.また,複素エネルギー固有値の関係が現象論的非エルミート有効ハミルトニアンで計算される値と一致することが分かった.本研究の成果を査読付き英文学術雑誌に投稿し,採択された.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Scientific Reports
巻: 11 ページ: 1-10
10.1038/s41598-021-02413-w