本年度は研究計画の最終年度に当たる。これまでの研究を取りまとめ、2022年中に一般向けの書籍として刊行予定である。書籍では、「サラリーマン」という言葉が誕生した大正末期から現代に至るまで、「サラリーマン」をめぐるメディア(雑誌、映画、漫画、テレビドラマ等)の歴史を体系的に記述した。 これまでに収集・分析を行った歴史資料は多岐にわたる。戦前においてはサラリーマン向け雑誌や同時代の知識人の言説等、戦後においては東宝映画「社長シリーズ」及び「日本一シリーズ」、雑誌『BIG tomorrow』及び『プレジデント』、漫画「課長 島耕作シリーズ」、テレビドラマ「半沢直樹」シリーズ等をめぐる資料及び、各時代における統計資料等について網羅的に収集し、分析を行った。以上の作業を踏まえ、日本近現代史における「サラリーマン」の歴史について、「大衆化と差異化」を軸に再編成し、社会学的考察を加えて論文として完成させた。 加えて前年度の後半より、サラリーマンを始めとした経済主体のコロナ禍における情報行動と政治コミュニケーションに関する調査も開始した。本年度は、前年度に行ったサーベイ調査の結果を論文にまとめ、査読付きの国際ジャーナルに2本の論文を発表し、国内学会及び国際学会で発表を行った。
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