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2020 年度 実績報告書

電流シート構造の二次元詳細計測によるプラズマ加熱機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19J22036
研究機関東京大学

研究代表者

秋光 萌  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
キーワード磁気リコネクション / プラズマ合体 / 電流シート / プラズモイド / リコネクション加熱 / 高精細二次元計測 / 磁気プローブ / 二次元トムソン散乱計測
研究実績の概要

本年度は計画のうち,球状トカマク実験装置TS-6での電流シート付近の二次元高精細磁場計測を行い電流シートでのBlobやプラズモイドの生成放出の加熱効果を検証するとともに,二次元化低温領域でプローブの直接計測による加熱検証を行い発表した.また昨年度検討を行った速度異方性計測用の分光器開発を進めた.
リコネクション高速化の解明のためガス圧を変えた実験によって、磁気リコネクションのタイムスケールを検証したところはガス圧が低いほど早くなった。これはガス圧が低いほどプラズマの密度が減少し、アルヴェーン速度が大きくなるためだと考えられる。プラズモイドの形成要因の1つとしてインフロー>アウトフローによるパイルアップが考えられるが、実験結果をもとにインフローとアウトフローの差を計算し、プラズモイド放出前にはパイルアップが生じていることを実証した。また同時にリコネクションのインフローの時間発展はプラズモイドの放出と相関があり、パイルアップした磁束が0点とともに放出されている現象が観測された。電流シートのBlob構造やプラズモイドの排出によるリコネクション高速化と加熱への効果を実験によって検証し発表した.主にプラズモイド排出時のリコネクション電界の上昇についてや,ブロブ構造の生成要因についてまとめた.電流シートは古典モデルのような反平行の磁力線からなるシート電流では無く,電流が塊となった多数の Blob から成り立っており、中央のBlobは磁気面を持つ磁気島で,端部のblobは磁力線の曲がりからなる電流の塊として異なった原因で形成されることを明らかにした。
高精細二次元トムソン散乱計測に関しては引き続き開発が進んでいる。電子速度異方性計測システムのための干渉フィルタの地仕様決定や調達、集光部分の窓加工など整備を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナウイルスの対策のため、研究室や図書館など各種設備に立ち入れなかった期間や、学会の延期、オンライン化への対応などに費やして進捗が遅れてしまった。そのため、計画を立て直す必要があったが、状況が読めなかったことで臨機応変に対応することができず時間を効率的に使うことができなかった。昨年度の遅れも合わせて今年は遅れが拡大してしまったと考えられる。しかし、各種計測システムが整備されてきており、これから実験によって成果を出すことができると考えられる。また当初の計画も1,2年目で開発を行い3年目は実験と発表、海外での協力実験などのみの計画で余裕を持たせているため、開発の遅れているものを早急に整備し実験することで挽回可能と考えられるが最終年度のため今年度に計画が終わるように対処する必要がある。

今後の研究の推進方策

引き続き,球状トカマク実験装置TS-6での電流シート付近の二次元高精細磁場計測を行い電流シートでのBlobやプラズモイドの生成放出の加熱効果を検証するとともに,二次元トムソン散乱システムでの計測実証を行い,二次元化低温領域でプローブの直接計測による加熱検証を行う.さらにTS-6での高温領域実験を行うために電子温度低下を防ぐための主差し可能なプローブシステムに改良する。また状況に合わせて英国ST40と協力し実験を行う。具体的に
①昨年度発見した電流シートのBlob構造やプラズモイドの排出によるリコネクション高速化と加熱への効果を論文化予定.
②低温~高温領域でのリコネクション実験:現在はプローブによって電子温度が低下してしまうため低温領域の実験しかできないが、高温領域でプローブを抜いて状態で実験できるようにプローブシステムを改良し、実験を行う。
③高精細二次元トムソン散乱計測と電子速度異方性計測システムを確立し計測を行う。:昨年度TS-6装置で二次元トムソン計測用のミラー設置などは完了した.アラインメントの課題を解決し二次元計測を実現させ計測を行う.昨年度設計した干渉フィルタを用いて異方性計測システム用の分光器を整備し、集光系も完成させて計測を行う。
④電子温度・密度分布を計測し,他研究者開発済みの二次元イオンドップラー計測によりイオン温度を計測する.また,イオン流速計測用にドップラープローブを作成し,磁場(電流密度),電子温度密度,イオン温度速度同時計測より電子速度を算出し,電場による電子加速とポテンシャル形成機構を定量的に検証する.
⑤状況に応じて英国ST40での実験も取り入れて高温高磁場下でのリコネクション加熱の特性をまとめる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Spontaneous Formation of Plasmoid during Early Magnetic Reconnection Phase of Two Merging Tokamaks2020

    • 著者名/発表者名
      Cao Qinghong、Cai Yunhan、Akimitsu Moe、Xiang Junguang、Ahmadi Tara、Tanaka Haruaki、Tanabe Hiroshi、Ono Yasushi
    • 雑誌名

      IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering

      巻: 15 ページ: 1403~1404

    • DOI

      10.1002/tee.23208

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高ガイド磁場リコネクション実験における電流シートのブロブ構造2020

    • 著者名/発表者名
      秋光萌, 曹慶紅, 蔡雲漢, 田中遥暁, 三木景介, 染谷諒, 小野靖
    • 学会等名
      プラズマ核融合学会 第37回年会
  • [学会発表] Plasmoid Formation and Ejection in TS-3U Merging Tokamaks Experiment2020

    • 著者名/発表者名
      M. AKIMITSU, Q. CAO, Y. CAI, K. MIKI, H. YAMAGUCHI, S. KAMIYA, R. SOMEYA, H. TANAKA1, Y. ONO
    • 学会等名
      4th Asia-Pacific Conference on Plasma Physic
    • 国際学会
  • [学会発表] Multiple Plasmoid Formation and Ejection in TS-3U and TS-4U Merging Tokamaks Experiments2020

    • 著者名/発表者名
      M. AKIMITSU, Y. ONO, Q. CAO, Y. CAI, K. MIKI, H. YAMAGUCHI, S. SOMEYA, H. TANAKA
    • 学会等名
      28th IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2020)
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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