研究課題/領域番号 |
19J22144
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
横山 岳 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 節水農業 / 水利用効率 / 乾燥地農業 / 気象要因 / 結露 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,乾燥地において頻繁に発生する結露による葉の濡れが植物の生理生態機能に及ぼす影響を明らかにすることである.前年度に引き続きコロナウイルスの流行により海外にある観測対象地を訪問することが不可能であったため,これまで取得してきたデータ(結露の発生と気象データ)の解析に取り組んだ.
結露は,春(4月,5月,6月)において発生頻度が低く,発生したとしても少量であった.一方で,夏(7月,8月,9月)においては結露は頻繁に発生し,発生量も春と比較して多かった.結露が発生した場合と発生しなかった場合の気象環境を比較すると,結露が発生した場合では結露が発生しなかった場合と比較して放射冷却の強度が強く(夜間の負の純放射量が大きく),表面温度が低いことが明らかとなった.しかしながら,結露の発生の季節変化のパターンと放射冷却の強度を表す夜間の純放射量の季節変化のパターンが一致しなかった.一方で,結露量と水蒸気圧の季節変化のパターンが一致していることを見出した.これらの結果から,春においては,放射冷却の強度が強かったとしても結露の元となる水蒸気が少ないために結露の発生が起こりづらいと仮説を立てた.実際に春においては,水蒸気圧と結露量の関係に有意な正の相関が認められた.一方で,春においては結露量と夜間の純放射量に有意な相関関係は無かった.また,夏においては,結露量と純放射量に有意な相関関係が認められた.これらの結果から,結露の元となる水蒸気が少ない春においては,水蒸気圧が結露の発生を律速し,水蒸気が多い夏においては,放射冷却の強度によって結露の発生が律速されることがあきらかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の研究対象地は,中国甘粛省の乾燥地畑地を対象としているが,コロナウィルスの流行に伴い,現地を訪問することが困難となり,実験計画が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルス流行により研究対象地での実験が困難であるため,所属研究機関で実施可能な実験計画を立案する必要がある.そこで,これまでの研究で収集した気象データを基に,半閉鎖型のチャンバ内に研究対象地の気象環境を再現することを試みる.植物個体が設置可能な大型のチャンバを用意し,チャンバに流入させる空気の気温・湿度を調節する.所属機関にあるLED光源を使用して一日の光環境の変化を再現する.夜間に,ミスト噴霧器により葉を濡らし結露を再現する.以上の方法で,研究対象地の気象環境の日変化再現し,その環境下で植物の応答を計測することを試みる.チャンバに流入する空気と流出する空気(二酸化炭素濃度,水蒸気濃度)を計測することで植物のガス交換速度計測する.また,茎内流量センサにより植物体内の水の流れを計測する.
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