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2019 年度 実績報告書

自動車修理をめぐる技術的実践とその歴史的変容:西アフリカ・ガーナの事例から

研究課題

研究課題/領域番号 19J22395
研究機関京都大学

研究代表者

三津島 一樹  京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
キーワードガーナ / 自動車修理 / 技術
研究実績の概要

本研究の目的は、ガーナ共和国における自動車修理業を対象に、その技術的実践と歴史的な形成過程を明らかにすることである。本年度の研究成果は、主に以下の三点に集約される。
まず、研究の開始年度であったため、技術に関連する人類学の下位・隣接領域の文献収集をおこなった。多様な側面をもつ自動車修理業の分析に向けて、研究会への参加等を通じ、相互行為論のビデオ分析や産業地理学など隣接領域の研究手法について学んだ。加えて注力したのは、土器つくりや機織りなど伝統的な技術を主な研究対象とする人類学的な技術研究の分析・記述方法の検討である。身体動作と道具の利用、工程の連鎖と分岐等に関する分析・記述方法について、どのように自動車修理の技術的実践に応用可能か検討した。
次に、今後おこなう現地調査の準備を進めるため、すでに収集した一次資料の再整理をおこなった。上述した技術研究の分析・記述方法を、実際の一次資料に援用することを試み、自動車修理の技術的過程に関して検討を加えた。これらの成果のうち、修理工による道具と身ぶりの状況的な選択に関して国立民族学博物館の若手共同研究にて、多種多様な零細な工房や商店との関係における修理工の技術的過程に関して、2019年6月の第53回日本文化人類学会研究大会にて、それぞれ口頭発表をおこなった。
以上に加えて、ガーナの自動車修理業の歴史的な形成過程について、資料調査をおこなった。2020年3月にイギリス・ロンドンの国立公文書館にて、英領統治期の植民地行政に関する詳細な資料収集をおこなった。新型コロナウイルスの感染拡大により計画の途中で帰国したため、希望する歴史資料のすべてを得ることはできなかったが、その一部については収集することができた。ここで得られた資料については、今後検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、技術に関連する人類学の下位・隣接領域の文献研究等を通じて、自動車修理業の技術的実践を検討するために必要な研究手法の拡充と深化に努めることができた。また、人類学的な技術研究における方法論の検討を通じて、既存の一次資料を用いた共時的な分析に進展がみられた。この結果の一部は、国立民族学博物館の若手共同研究や、第53回日本文化人類学会研究大会での口頭発表にそれぞれ結び付いている。加えて、英領統治期に起源をもつ自動車修理業の歴史的側面の検討についても進展がみられた。イギリスの国立公文書館における歴史資料の収集を通じて、計画していた資料の一部を入手することができた。また、現地で入手可能な資料の種類やその特性・内容についてもおおまかな見通しがたった。
本年度は、文献研究や一次資料の再整理に時間を費やしたため、当初予定していた現地調査を実施できなかった。しかし、本研究費の助成以前とは異なる新たな方法論の検討を進めることで、現有の一次資料の整理が大きく進んだ。また、イギリスの国立公文書館の訪問では、歴史的な側面に関する資料収集についても進展がみられた。ガーナ共和国における自動車修理業の技術的実践を共時的・歴史的な側面から検討するにあたり、研究活動の実施時期は前後しているが、当初予定していた研究目的から逸れることなく順調に実施されている。

今後の研究の推進方策

今後も引き続き、文献研究と一次資料の収集・整理に努める。特に、人類学的な技術研究に基づく方法論については、文献研究と一次資料の分析・再整理を継続し、さらに方法論を洗練させ、論点の絞り込みに努める。こうした一連の作業を通じ、その結果の一部については学術誌への投稿を予定している。また、次年度での現地調査に向けて、調査項目や対象の選定など、今後の調査計画を練る必要がある。歴史資料については、アクセス可能な範囲で整理・収集を継続する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 身ぶりとテクノロジーの相互作用:西アフリカ・ガーナの自動車修理を事例に2020

    • 著者名/発表者名
      三津島一樹
    • 学会等名
      国立民族学博物館・若手共同研究「テクノロジー利用を伴う身体技法に関する学際的研究」
  • [学会発表] 複合的なモノとしての自動車と「交渉」する:ガーナ都市部の自動車修理工による修理実践の事例から2019

    • 著者名/発表者名
      三津島一樹
    • 学会等名
      日本文化人類学会第53回研究大会

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公開日: 2021-01-27  

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