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2020 年度 実績報告書

自動車修理をめぐる技術的実践とその歴史的変容:西アフリカ・ガーナの事例から

研究課題

研究課題/領域番号 19J22395
研究機関京都大学

研究代表者

三津島 一樹  京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
キーワードガーナ / 自動車修理 / 技術
研究実績の概要

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う研究計画の延期により実施年度は複数年にまたがっているが、その実績は以下の3点に集約される。
まず第一に、これまでの一次資料と先行研究の検討結果を論文としてまとめたことである。これまで人類学的な技術研究における記述・分析方法を検討し、すでに収集した一次資料の整理を進めてきた。その結果は、2022年6月の日本文化人類学会第56回研究大会にて発表し、同年に『物質文化』102号の論文として掲載された。この論文は、ガーナ都市部の自動車修理工が、数少ない工具や道具をいかに使用しているのかに関するものであり、工具や道具のみならず身体動作に着目して自動車修理工の技術を分析したものである。このほかにガーナ都市部の自動車修理工をとりまく産業地域のアクター間の協働についても論文を執筆し、『アジア・アフリカ地域研究』23号2巻に掲載される予定である。
第二に、フィールドワークに関する計画の具体化である。第一の点と関連するが、論文を執筆すると同時に、今後の課題も明らかになってきた。そこで明らかになった課題をもとに、研究計画を具体化させるため、ポスター発表をおこなった。その成果は2020年・2021年の「学術変革領域研究A『生涯学』」における合同ワークショップや領域会議にてポスター発表をおこない、関連領域の研究者と討議を重ねた。
第三に、フィールドワークの実施である。2022年10月よりガーナへ渡航し、現地調査を進めてきた。特に自動車修理をとりまく「流通」については、在日ガーナ人による商売によって、国境を越えたビジネスが展開されており、中古自動車と同時に様々な交換部品が輸出されていることがわかった。首都アクラの中古部品市場やクマシのスアメ地区においては、日本を含めた海外に出稼ぎ等を行っている知人・親類のネットワークを通じてこれらの交換部品が売買されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウイルス感染症の影響により、研究計画の実施は複数年にまたがっているものの、おおむね順調に進展しているといえる。これまでの人類学的な技術研究の記述・分析方法の検討をおこない、それをもとに既存の一次資料の整理を進めてきたことは『物質文化』での論文掲載につながっている。論文執筆の過程で生じた課題については、「学術変革領域研究A『生涯学』」における合同ワークショップや領域会議にてポスター発表を行うことで、フィールドワークに向けた準備を進めることができた。さらに、フィールドワークを開始することができたのも大きな成果である。特に本研究の重要な要素である「流通」については、自動車と自動車部品の流通が知人・親類のネット―ワークを通してガーナへ輸入されていることが明らかとなり、新たな一次資料を収集することもできた。

今後の研究の推進方策

引き続き、ガーナ都市部の自動車修理をめぐる技術的実践について、「技術・流通・知識」の三要素に着目しながら、フィールドワークを継続する。今後は、クマシのスアメ地区の自動車修理工房に通いながら、具体的な自動車修理工の技術と、産業地域における知識の連関について調査を進める方針である。ただし、現地調査については想定したよりも多くの時間がかかる見込みのため、スアメ地区の歴史的な側面よりも、現地の人びとの自動車修理に関する技術と知識に関して調査を精力的に行う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ガーナ都市部の自動車修理業における零細企業間の協働:自動車修理工の立場からみた情報探索とブリコラージュ2024

    • 著者名/発表者名
      三津島一樹
    • 雑誌名

      アジア・アフリカ地域研究

      巻: 23(2) ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 機械を直す技術と身体:ガーナ都市部の自動車修理工にみる道具と身体の使いこなし2022

    • 著者名/発表者名
      三津島一樹
    • 雑誌名

      物質文化

      巻: 102 ページ: 13-34

    • 査読あり
  • [学会発表] ガーナ都市部における自動車修理工の技術:熟練度の異なる徒弟らの道具と身ぶりに着目して2022

    • 著者名/発表者名
      三津島一樹
    • 学会等名
      日本文化人類学会第56回研究大会
  • [備考] 学術変革領域研究A「生涯学 C01 技能発達班(文化人類学)」

    • URL

      https://www.lifelong-sci.jinkan.kyoto-u.ac.jp/c01/

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公開日: 2023-12-25  

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