本研究では高線量場計測応用を想定した新規近赤外発光シンチレータの開発を目的として研究を行った。昨年度作製したNd添加GdVO4単結晶が近赤外発光シンチレータとして良好な特性を示していたため、本年度もバナデート単結晶をホストとし、発光中心として近赤外域に発光遷移を持つNd元素を選択・最適な添加濃度の検討を行うことで、近赤外域で高い発光効率を有するシンチレータの開発を行った。LaVO4やLuVO4単結晶に近赤外域に発光遷移を持つNd元素を発光中心として添加した単結晶を作製しシンチレーション特性を測定した。結果的に放射線検出器としての特性はNd添加LaVO4は60 mGyから60Gy/hの範囲の線量率応答特性、Nd添加LuVO4は60 mGyから60Gy/hの範囲の線量率応答特性を示しており、Nd添加LuVO4の結果は現在報告されている近赤外発光シンチレータの中でも一番性能が高いものと同等であることを明らかにした。これらの研究結果を取りまとめ、国内外で開催された学会に積極的に参加し、ポスター及び口頭発表を行い、主著論文として2編投稿した。
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