研究課題
項目(1)で都市浸水に適した数値モデルの開発(項目(1-A) 解適合格子法を用いた高潮浸水モデルの開発,項目(1-B) 都市域の浸水現象の粗視化手法の開発)を行う.項目(2)では,最新の気候予測計算を外力として,様々な温暖化シナリオのもと長期積分を実施し,全国スケールでの高潮浸水被害の将来予測を行う.計算結果をもとに,我が国の高潮災害の脆弱域および適応策について評価する.今年度は,全体計画の中の項目(1-B)と(2-A)について研究を行った.項目(1-B) 都市域の浸水現象の粗視化手法の開発:1-2年次に開発した都市域を対象とした津波浸水モデル,平均化建物抗力モデル(iDFM: individual Drag Force Model; 現在英文ジャーナルに投稿し,査読後修正中)を高潮モデルSuWAT(Kim et al., 2015)に適用し,実イベント検証として,2013年台風Haiyanによるレイテ島都市域の再現計算を行った結果,浸水範囲と浸水深について痕跡調査結果との再現性が良好でiDFMの高潮への適用可能性も示された.項目(2) 高潮の全国評価:前述の高潮モデルSuWATとiDFMに解適合格子法(項目(1-A)にて検討)を用いた高潮モデルGeoClaw (Mandli et al., 2014)を単方向結合することにより,異なるスケールを持つ日本広域での高潮の発生から市街地の浸水までを効率的に計算する手法を確立し,全国スケールでの高潮浸水評価の基礎となるモデルを構築した.この手法に基づき,台風Hagibisの擬似温暖化実験による台風気象場(気圧・風速)を外力とし,日本の近海における高潮の発生から東京湾沿岸における高潮の浸水までの計算を行った.計算結果は,高解像度モデルを真値として比較検討を行い,大局的な浸水範囲の変化と最大値の再現性について概ね良好な結果が得られた.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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