現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,これまで樹立されたAD初期病態である輸送障害のモデル細胞系を用いて,AD発症機構の解明・小胞輸送障害に対する治療標的分子の同定を目指して研究を行った. その結果,脂質輸送因子リピッドフリッパーゼの活性低下が関与すること及び、リピッドフリッパーゼ機能回復に伴い, エンドソームの肥大化が改善されることを明らかにし, リピッドフリッパーゼを新規治療標的として見出した. これまで,小胞輸送障害がAβの蓄積を引き起こすという“traffic jam” 仮説が強く提唱されてきた一方で,そのメカニズムは明らかでなく, 治療薬の開発は困難であった.申請者による本研究成果は,脂質二重膜において脂質の局在を制御するリピッドフリッパーゼの機能が関与するという,本仮説のメカニズムの提示及び、その機能改善は治療標的となりうる可能性を示しており,新規AD根本治療薬の開発に大きく貢献出来ることが予想される.以上,本研究は当初の予定通りに進展しており,今後の研究に大いに期待できるものである.
|