研究実績の概要 |
2021年4月から8月は、『社会思想史研究』に投稿した論文を執筆するとともに、MANCEPT Workshopでの報告準備を進めた。『社会思想史研究』の論文では、費用対効果の観点から、政治参加を奨励する参加アプローチに対し、抽選制議院によって代表を強化する代表アプローチを擁護した。MANCEPT Workshopの報告では、政党の役割の観点から、選挙制議院と抽選制議院からなる二院制構想が擁護されることを示した。 9月から10月は、『相関社会科学』に投稿した書評論文を執筆するとともに、筑波大学シーディングプログラムの講演準備を進めた。『相関社会科学』の書評論文では、Landemore, H. (2020) Open Democracy: Reinventing Popular Rule for the Twenty-First Century. Princeton University Press.を批判的に検討した。筑波大学での講演会では、熟議民主主義の研究動向を概説した。 12月から2022年3月にかけては、学術振興会の若手海外挑戦プログラムの助成を得て、米国ラトガース大学に滞在し、Alex Guerrero教授の指導の下で在外研究を行った。Guerrero教授は英語圏におけるロトクラシー研究の第一人者であり、論文草稿や博論構想について、様々な助言をいただいた。また、在外研究期間中には、『筑波法政叢書』に寄稿した論文を執筆するとともに、井上彰教授(東京大学)と三輪洋文准教授(学習院大学)との英語共著論文の執筆を進めた。『筑波法政叢書』の論文では、選挙制議院と抽選制議院の二院制構想では、抽選制議院における無作為抽出された市民間の熟議は必要でないことを論じた。英語共著論文では、2021年12月に実施した抽選制議会への市民参加に関するサーベイ実験について分析している。
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