令和三年度は前年度に開発した金属有機構造体(MOF)の多段階ステップでの集合制御手法を拡張することで、材料中の分子レベルの欠陥からマイクロ・メソ・マクロ孔構造の独立的な階層構造制御手法の確立を試みた。ここでは特にUiO-66型MOFの集合形態と分子レベルの欠陥構造に着目することで、分子レベルの欠陥からマイクロ・メソ・マクロ孔構造の独立的な階層構造制御が可能となった。また、その細孔構造が与える影響について通液試験によって明らかにした(論文投稿準備中)。さらにこうした多孔性材料開発の知見を活かすことで、リチウムイオンバッテリー(LIB)における多孔性カソード材料の開発を行った。結果、酸化物多孔性材料における酸化物のヘテロ接合がLIBのサイクル特性およびレート特性に与える影響について明らかとした(論文投稿中)。また、多孔性材料の更なる構造制御手法の開拓を目指して金属有機多孔面体(MOP)の集合状態の制御を試みた。ここでは特にMOPのメゾスコピック領域における集合状態をMOP間の電荷反発と溶媒蒸発に誘起されるミセルの自己集合に注目することで制御することを試みた。結果、球状または棒状ミセルによってMOPの集合状態を制御することが可能であり、階層的多孔性材料の更なる構造制御手法が新規に開発された。
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