今年度は放線菌における共脱窒の分子メカニズムの詳細についてより明らかにすることができた。これまでは脱窒まで酵素が触媒していると考えていたが、in vitroでの反応解析の結果、ジアゾ化を起点とした共脱窒機構は酵素によるジアゾ化ののちに、非酵素的に脱窒素ガス反応が進行することが明らかとなった。 また、共脱窒の起点となるアミノ基の導入が、酸素による酸化とアミノ基転移を両方触媒するPLP依存性酵素によって触媒されることを明らかにした。このPLP依存性酵素はメロテルペノイド生合成における共脱窒では普遍的に存在していることが示唆された。 他にもこれまでに共脱窒を行うことが知られていたStreptomyces antibioticus B-546株のゲノム解読に成功し、Fur5ホモログや共脱窒に必要な亜硝酸合成カセットが近傍に存在していることを確認した。遺伝子配置はオープンデータベース上の他のStreptomyces antibioticus株と類似していたものの、塩基配列はやや異なっていることを明らかにした。さらに、このS. antibioticusのゲノム上のFur5ホモログの破壊にも今年度は成功した。
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