研究実績の概要 |
CAT(0)立方複体上の測地線を計算する多項式時間アルゴリズムについての論文 A polynomial time algorithm to compute geodesics in CAT(0) cubical complexes に書誌情報がついた. フラットな幾何学的束, 反マトロイドの族がなす束に対し, 誘導されるオーソスキーム複体の非正曲率性について考察した. それらの束が自然に埋め込まれる可補モジュラ束における部分ブール束(アパートメント)を考え, それに含まれる部分半順序集合の束論的凸性を示した. この性質は対応する複体での幾何学的凸性を示す際に利用できる期待がある. 作用素スケーリング問題などの非正曲率空間での最適化に関連する代数的な問題として, 最大消失部分空間問題 (Maximum Vanishing Subspace Problem)が挙げられる. 最近, この問題に対するアルゴリズムが Hamada & Hirai により与えられた. これは, 問題をベクトル部分空間がなすモジュラ束上の劣モジュラ関数最小化問題として定式化し, CAT(0)空間上の凸関数へ緩和した後, 分割近接点法を利用した単純な反復計算によるものである. 今回, この結果を拡張し, モジュラ束上の非拡大なガロア接続により記述される目的関数に対して同様な手法が適用可能であることを示した. 構造的グラフ理論に関する結果を得た. 7連結な単純無向グラフにおいて, 任意に指定された4頂点を分岐点とする4頂点完全グラフの細分が存在することを示した. 関連する話題について, 日本応用数理学会第17回研究部会連合発表会にて発表した.
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