本年度は、LiDARと呼ばれる、3次元レーザースキャナーを用いて、都市部の樹木を自動的に検出アルゴリズムについて研究を行った。LiDARとは、レーザーパルスを照射し、その光が返ってくるまでの時間を利用して、対象の3次元構造を求めることができる。 近年、都市部を3次元的に計測し、その空間的なデザインや、未来予測、防災などに役立てる取り組みが盛んである。本研究では、空間的なデザインや環境浄化において重要な役割を果たす樹木に注目した。例えば、樹木の成長を予測し、都市部の風景をデザインすることは、重要であるが、そこでは、現在の樹木の分布や構造を第一に捉える必要がある。そのために、自動車などにLiDAR(レーザースキャナー)などを搭載し都市部の3次元点群を得た。そして、そのデータより、樹木個体を自動的に抽出するアルゴリズムを提案した。 そのアルゴリズムでは、3次元点群処理や深層学習の技術を利用し、高精度に樹木個体を検出するものである。これにより、都市部のような、樹木以外の人工構造物を多く含む中でも、高精度に樹木のみを抽出することができる。その結果として、各樹木の幹の直径や高さ、そしてその分布を捉えることができる。 今後は、このアルゴリズムがより広範囲かつ、多種多様なデータに対しても適用可能であるかどうかを検証して行く予定である。また、樹木の葉や幹を自動的に分離し、樹木の体積や葉面積を高精度に求める手法についても検討を行う。
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