研究課題/領域番号 |
19J22783
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
新島 駿 東京理科大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | ロボット自律移動 / 都市部3次元地図生成 / GeoAIデータプラットフォーム / 都市部経路計画 / 人混み回避 |
研究実績の概要 |
研究課題の達成のために本年度は下記の3つの研究課題を行った. 1)電子地図の建物情報に基づいた大規模な市街地3次元地図作成手法:従来の3次元地図作成手法のSLAMは都市規模の3次元地図を生成する場合に誤差が累積することが課題として知られており,GNSSなどを用いた絶対位置の観測無しには一貫性保った3次元地図を作成することは困難であった.都市規模で世界的に一貫性のある3次元地図を生成するために、公開されている電子地図を使用した半自動3Dマッピングシステムの提案を行った. 2)データプラットフォームを活用した自律移動フレームワーク:都市部や展示会場など大規模で複雑な環境でロボットが自律移動するためにはロボット単体のみでは無く,世の中に存在する多様なセンサのデータを活用することが必要不可欠となる.そこで 歩行者,車両,台風などの移動物体の時空間データを管理および分析するGeoAIデータプラットフォームに基づくモバイルロボットナビゲーションのフレームワークを提案した。有効性の確認のため,実際の展示会場にて提案フレームワークを用いた自律移動ロボットを走行させた. 提案されたフレームワークは従来のフレームワークに比べて混雑した領域を避けた経路を選択し効率的な経路を走行することを確認した. 3)市街地でのグリッドマップとグラフ構造を用いたナビゲーション地図の作成:従来の占有グリッドを用いたナビゲーションマップ表現では都市規模に拡大したときにデータ量や,メモリの使用量が多大となりロボットへの搭載が困難になることが知られていた.本研究では都市部で使用可能な新たなナビゲーションマップの構成方法を提案した.日本の実際の都市での評価実験により,ハイブリッドマップが既存のグリッドマップベースの経路計画と比較して、計画時間とメモリ使用量を削減したことを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
都市部での自律移動を実現するため,1)大規模な3次元地図の作成,2)大規模なデータを扱えるデータプラットフォームの開発,3)新たなナビゲーション地図構成の考案を行った.上記3つの研究内容に取り組んだことで既存のロボットナビゲーションシステムを拡張し,大規模なデータを扱えるシステムの開発を行った.特にデータプラットフォームと連携したナビゲーションシステムは多量のセンサから集積したデータを解析し,ロボットに解析結果を送信することで人混みを避けるなどのより高度な自律移動を実現した.また,上述した研究課程では実際の展示会場や科学未来館,屋外での実証実験を通してその有効性の確認を行った. 屋外での自律走行結果をまとめた投稿論文は日本機械学会から若手優秀講演フェロー賞を授与された.また,研究で使用している電動車椅子のWebページに研究内容を掲載された. 当該年度において作成した新たな地図構造を含むナビゲーションのフレームワークに加えて,今年度においてロボット自身のナビゲーション地図更新手法を行うことで研究課題の遂行が見込まれる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は都市部での新たな地図に基づくロボットの自律移動に対して研究を行った。都市部においては屋外の環境は頻繁に変化し、歩行者や展示物など動的な障害物が多く存在するため地図を一度作成するだけでは効率的な経路の選択は困難である。それらの状況に対処するため、今後は自律移動システムの改善に加え、ロボット自身の地図更新手法について研究を行う。 具体的には収集した動的な情報をグラフにおけるエッジの重みとして地図上に表現することで動的な環境情報を考慮した動作生成の実現を目指す。また、現在使用しているナビゲーション地図を複数回の走行データをもとに新たに生成する手法について研究を行う。
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