研究課題/領域番号 |
19J22791
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本永 翔也 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 摂動系 / 第一積分 / 周期軌道 / ホモクリニック軌道 / 可換なベクトル場 |
研究実績の概要 |
摂動を受ける力学系に対して、第一積分・周期軌道・可換なベクトル場あるいはホモクリニック軌道が保存するかという問題に取り組み、特に、多様体上で定義された力学系に対してそれらが保存するための必要条件を与えた。また、第一積分の保存のための必要条件と周期軌道あるいはホモクリニック軌道が保存するための必要条件が一致するという興味深い事実も得た。また、力学系の分野でよく知られているメルニコフの方法により周期軌道やホモクリニック軌道が保存するための十分条件が得られるが、これらの条件が成り立つときに摂動系においては第一積分が保存しないことも示した。これらに加えて、得られた理論結果を具体的な系に適用して、ドローンの数理モデルでもある周期的な摂動を受ける剛体に対しては周期軌道が保存しない条件を、座屈ばりの3自由度モード方程式に対しては可換なベクトル場が保存しない条件を与えた。これらの研究成果を,日本応用数理学会2019年度年会(東京大学、9月)等の国内学会、有限次元可積分系に関する国際会議International Conference on Finite Dimensional Integrable Systems in Geometry and Mathematical Physics(上海交通大学、5月)および微分方程式に関する国際会議Equadiff(ライデン大学、7月)において発表し、さらに論文にまとめ投稿の準備を進めている.また、次年度に新たな可積分判定手法の開発を行うため、可積分性の障害として、どのような性質が重要であるかについても研究に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、初年度に第一積分の保存、次年度に周期軌道の保存、最終年度に可換なベクトル場の保存と可積分判定手法の開発を行う予定であったが、初年度分の研究で、摂動系における第一積分の保存だけでなく、次年度以降分の周期軌道の保存や可換なベクトル場の保存についても研究することができたため、計画より大幅に進んでいると言える。また、予定にはなかったホモクリニック軌道の保存まで考察することができたため、総合して、当初の計画以上に進展していると言って良いと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた、第一積分や可換なベクトル場の保存のための必要条件を応用して、摂動系に対する可積分判定条件について研究する。特に、研究計画当初に想定していなかった、関数的独立性という問題に対し、次年度中にこの問題を解決する糸口を模索する予定である。
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