研究課題/領域番号 |
19J23329
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
李 華雨 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 五山文化 |
研究実績の概要 |
研究課題である日本中世における「宋型文化」の受容について、主に蘇軾および黄庭堅が五山漢詩文に与えた影響に焦点を絞って分析を行った。今年度も引き続き蘇黄の抄物である『四河入海』『帳中香』を中心に研究を進め、さらに日本における北宋詩僧道潛の受容について検討し、学会発表を一件行い、その成果を発表した。具体的な研究内容、進行状況および学術成果は以下の通りである。
当初の研究範囲としては日本中世における蘇軾および黄庭堅の抄物を研究対象とする予定であったが、今年度の研究を遂行するにしたがって、当初想定していたよりも日本中世における「宋型文化」の受容の様相は極めて複雑かつ多層的であることを強く認識することとなった。蘇軾や黄庭堅といった北宋時代における代表的な詩人はもちろんのこと、今後は道潛、惠洪ら北宋時代の詩僧たちも視野に入れて研究を進める必要がある。今年度は主に日本中世における北宋時代詩僧の著作の受容に着目し、文献調査を行った。受入機関である東京大学を中心に、東京および地方にある関係諸機関に出張して文献調査を実施した。また、『參寥子詩集』『鐔津文集』などの本文を精査し、各版本の異同および出版の経緯などについて基礎的な文献学的検討を行った。そして、日本漢詩史における「香」の表現及びその文化史的意義について、12月に台湾中央研究院で開催された「日照高山:東亞文化意象與華文文學」青年學者論壇にて、口頭発表を行った。現在、これらの報告内容に基いた論文の投稿を計画中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この一年間、コロナ流行のため、調査旅行や図書館の利用が困難となったなかにおいて、基本的な文献を精読し、研究視野を広げてきた。すでにオンラインで台湾での学会に参加して研究発表を行い、2021年度において日本中国学会で発表するために鋭意準備しているようである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究範囲としては日本中世における蘇軾および黄庭堅の抄物を研究対象とする予定であったが、今年度の研究を遂行するにしたがって、 当初想定していたよりも日本中世における「宋型文化」の受容の様相は極めて複雑かつ多層的であることを強く認識することとなった。蘇軾や 黄庭堅といった北宋時代における代表的な詩人はもちろんのこと、今後は道潛、惠洪ら北宋時代の詩僧たちも視野に入れて研究を進める必要が ある。今年度は主に日本中世における北宋時代詩僧の著作の受容に着目し、文献調査を行う。そして研究結果を整理し、投稿する。
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