研究課題
概日時計は、日周や季節などの周期的な環境変化に適応する機構であり、大半の生物がその機構を有している。植物の概日時計は個々の細胞が自律的に機能すると考えられてきたため、多くの報告は植物体を研究単位としていた。近年、器官・組織レベルの解析によって、維管束組織から葉肉組織、茎頂から根などの他の器官への時間情報の伝達が報告された。しかし、時間情報の伝達機構は未だ不明な点が多い。伝達機構を解明するためには組織からの影響を受けない細胞時計の特徴や役割についての知見が重要となるが、それらの性質も依然として不明のままである。本研究では、細胞自身が有する固有の概日時計の特徴を明らかにすることによって、植物が細胞時計を統合し、個体として環境に適応する仕組みを理解することを目指した。昨年度までに、プロトプラストとして細胞を物理的に単離し、個々の細胞概日リズムを解析するための独自の実験系を立ち上げている。さらに、個々の細胞概日リズムを様々な条件で調べることで、細胞が本来持つ概日時計の特徴を明らかにすることに成功している。令和3年度は、①外部刺激による単一細胞時計の調節機構に加えて、②細胞間における時間情報伝達機構を明らかにするために、「高細胞密度による単離細胞の概日リズム安定化の適応範囲の解析」と「切り取った葉と単離細胞における比較解析」を中心に実施し、その成果を出版論文や学会等で発表した。これらの成果により、植物が細胞時計を統合し、個体として環境に適応する仕組みの一端を明らかにすることができた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
Plant and Cell Physiology
巻: 63 ページ: 421~432
10.1093/pcp/pcac008
Bioluminescence: Methods in Molecular Biology. 4th edition. Edited by Kim, S.-B. in Springer Protocols
巻: - ページ: -