研究実績の概要 |
本年度において以下2つの課題を実施した。 ①ブドウの発酵残渣を用いた抗HSV-1化合物の同定と作用機序解析 これまでに8種類のブドウ発酵残渣の抗HSV活性を評価し、ピノノワール種に抗HSV-1活性が含まれることを見出している。さらにピノノワール残渣中に含まれる抗HSV-1化合物がVV-8であることを同定した。VV-8が有する抗HSV活性の作用機序解析進め、VV-8が、ウイルス蛋白質の発現、ウイルスゲノムの複製、ウイルス放出量を抑制することを明らかにした。さらに本年度はVV-8がHSV-1のウイルス遺伝子の発現を阻害するか否か解析を行った。その結果、VV-8はウイルスの前初期遺伝子(US-12,UL54)、ウイルス初期遺伝子(UL-23)および、ウイルス後期遺伝子(UL-23,UL-19,UL-48)の発現を抑制することを明らかにした。 ②新規抗HSV化合物の探索 本年度はさらに抗HSV化合物のスクリーニングを進め、Xが抗HSV-1活性を有することを発見した。Xは二本鎖DNAに結合することで、緑色の蛍光を発し、一本鎖DNAに結合すると赤色の蛍光を発する低分子化合物である。本研究では、Xが全光照射により励起されることに着目し下記実験を行った。HSV-1のウイルス液にXを処理し、全光照射した後、プラークアッセイ法により感染性を評価した。その結果、X未処理群及び、X処理後光照射なしの群と比較して、X処理後光照射ありの群で抗ウイルス活性を有することを明らかにした。
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