研究課題
本研究課題は、農作物を栽培するうえで大きな問題となっている連作障害の解決のため、下水汚泥からバチルス属細菌と自活性線虫を豊富に含む土壌改良資材を製造し、農作物の無農薬連作障害抑止技術を開発することを目的としている。本年度では,土壌改良資材における原材料の配合割合の違いが自活性線虫優占化に与える影響および作製した下水汚泥を用いた土壌改良資材と既存の堆肥との線虫群集構造の違いを評価することを目的とし、異なる配合の下水汚泥土壌改良資材の作製、18SrRNA遺伝子に基づいた線虫群集構造解析を行った。本研究では、3つの異なる配合割合の下水汚泥土壌改良資材(試験区1:牛糞堆肥+下水汚泥+バーク堆肥+もみ殻、試験区2:牛糞堆肥+下水汚泥+バーク堆肥、試験区3:牛糞堆肥+下水汚泥+もみ殻)を作製した。また、線虫群集構造比較のために五種の既存の堆肥(し尿汚泥堆肥,杉バーク資材,松バーク資材,杉バーク堆肥,松バーク堆肥)から試料の採取を行った。採取した試料からベルマン法により線虫を抽出し、抽出した線虫を対象とし18SrRNA遺伝子に基づいた線虫群集構造解析を行った。ベルマン法で抽出した線虫からの18S rRNA遺伝子解析の結果、既存堆肥中ではOTUレベルでそれぞれCephalobusやChiloplacus等の自活性線虫が70%以上の存在割合で優占していることが確認された。一方で、下水汚泥土壌改良資材では,全ての試験区でRhabditisのみの優占(99%以上)が確認された。下水汚泥土壌改良資材の線虫群集構造比較解析の結果、試料間で同一の線虫(Rhabditis)が優占していることから配合割合が優占する線虫の系統に与える影響は無いと考えられた。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Crop Protection
巻: 139 ページ: 105380
10.1016/j.cropro.2020.105380