これまでの主要な研究成果としては,医療ビッグデータ・行政データの活用等によって災害時要配慮者を対象とした地域存在量の把握を実施してきた.要配慮者の地域存在量の把握,およびそれらの方々が見舞われると想定される状況把握は実現された.また,発災後の要配慮者支援方法として,SAR衛星とAIを用いた新たなニーズ把握手法の開発を実施した.SAR衛星に観測可能な複数のリフレクタを開発し,それらの後方散乱係数の差をニーズの差として定義した.発災後にニーズに沿ったリフレクタを被災者が設置することによって,設置位置とニーズを被災地外へ発信するシステムである.これらの研究成果をもとに,昨年度は行政職員へのヒアリング調査・アンケート調査を実施し,地域の実情に即した地域防災計画策定手引書の開発に向けた課題の整理を実施した.調査の結果,筆者がこれまでに実施した研究成果によって,地域特性を十分に把握することが可能になり,各地域の特性に沿った地域防災計画策定が十分可能である示唆が得られた. さらに,地域防災計画上で,急性期の要配慮者支援体制が確立されていない問題に対しては,筆者が開発したSAR衛星とAIによる発災後ニーズ把握手法が十分に活用でき,全国での水平展開が可能であることが示された.筆者がこれまで実施してきた研究成果は国内外で高く評価され,査読付き論文7本としてまとめられた.また,学会発表も積極的に実施し,国内学会発表数が5件であった.
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