研究課題
本研究では唾液腺疾患であるシェーグレン症候群発症におけるRunx1の役割を詳細に解析することが目的である。その中で、作成されたRunx1のKOマウスの形態解析を行う中で唾液腺以外にも変異形があるということが確認された。そのため唾液腺以外にも対象臓器を広げて研究を行った。本年度は、ヒトの臨床研究を開始した。研究協力者である大阪大学歯学部付属病院口腔乾燥外来を受診した患者の調査を行い、シェーグレン症候群と口腔乾燥症の判断指標であるサクソンテストに関する研究を行った。本研究はEvaluation of the Saxon test for patients with hyposalivation without Sjogren's syndromeという題目でJ Oral Rehabil誌に掲載された。サクソンテストの有効性をシェーグレン患者とそうでない患者に分けて有用性を確認する内容であり、いままで未解明の分野でサクソンテストを臨床的に解明する新しい内容であった。また基礎研究に関しては唾液腺に関して、シェーグレン症候群のメカニズムを解析するとともに唾液腺の発生過程と再生過程を比較しながら、唾液腺再生のメカニズムを解析を行いそれをより発展させた。再生医療を実現するためには発生生物学の研究とともに再生生物学を発展させることが重要であるといわれている。唾液腺の再生医療が難航している原因はいくつか考えられるが、その原因の一つとして、唾液腺発生における報告は数多くあるものの、組織障害後の再生に関する解析が少ないことが挙げられると考えられる。そこで胎仔唾液腺と損傷唾液腺を用いて、唾液腺の発生過程が再生過程を同一であるのかもしくは違いがあるのかという点に着目し検討を行った。
2: おおむね順調に進展している
新型コロナウィルスの影響もあり、研究協力者である大阪大学への訪問が難しくなったため、研究内容をより統計学的で臨床的な内容に一部シフトすることを行った。その結果、当初の予定とは違う結果になったが、唾液腺研究という大きな枠組みで考えた場合には新たな展開が得られたと自負している
新型コロナウィルスがこれからしばらく蔓延が続き、その影響により、研究協力者である大阪大学への訪問は難しくなると考えられる。Runxマウスは研究協力者である大阪大学歯学研究科で飼育されており、現所属の岡山大学から訪問するのは何か月かストップする状態がさらに続くと考えられるため、マウス実験が実質困難である。そのため、今後はより臨床的な解析を推進していき、論文投稿を行う予定である。マウス実験も遺伝子組み換えマウスを用いない内容で検討を行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Annals of Anatomy - Anatomischer Anzeiger
巻: 229 ページ: 151482~151482
10.1016/j.aanat.2020.151482
Journal of Oral Rehabilitation
巻: 47 ページ: 1550~1556
10.1111/joor.13093