研究課題/領域番号 |
19J40054
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大橋 麻里子 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2023-03-31
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キーワード | アマゾニア先住民 / キャッサバ |
研究実績の概要 |
本研究は、森林開発あるいは森林保全活動といった外部影響を直接に受ける先住民社会の生活・文化の実態およびその変容を、現地滞在型フィールドワークを通じて、明らかにしようとするものである。グローバル・ナショナルで言われる開発や保全を、(とりわけ直接にその影響を受ける)現地の人びとの視点から捉えなおすことを試みるものである。しかし、渡航先および国内でのCOVID-19の蔓延が続いたことから、海外フィールドワークの実施は延期することになった。 したがって、国内において以下の研究を行った。(1)これまで調査をしてきたアマゾニア先住民シピボにおける「川の氾濫時の対応」と「キャッサバ利用」に関する(すでに収集してあった)データの整理を進め、関連テーマ・分野の文献購読を行った。研究成果として、日本熱帯生態学会(2021年6月26日)で「水に沈んだキャッサバの収穫ーアマゾニア先住民、河と共に生きる人々」というタイトルで研究発表を行った。また、生き物文化誌学会(2021年10月2日、「イモ」例会)で「キャッサバ利用の多様性と食料生産 ―ペルーアマゾンの事例を中心として―」というタイトルで発表を行った。他方、(2)日本国内の農山村地域(山梨県)の農業従事者や採集活動を行う人を対象に聞き取り調査を始めた。アマゾニアの事例と日本国内の事例では、比較しづらい部分もあるが、それでも国内調査の実施は本研究の相対化に向けた視点を養うのに役立つの実感を得ている。また、今後研究を発展させていくための新たな着想を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定をしてたアマゾニア上流域での現地調査は実現できていない。また、森林をめぐるナショナルレベルで展開される政策の地域間比較の検討に向けて、オンライン調査を予定していたが、現地との調整がうまくいかず実現できていない。これらの点から、本研究は滞ったといえる。しかし一方で、これまで研究成果として出せていなかった手持ちのデータ整理を進めることができた。それに加えて、本研究を今後さらに発展させていくための視点(例:ヒトとキャッサバの関係、氾濫原利用)をいくつか得ることができた。そのため、研究はおおむね順調に進展していると捉えている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの流行から日常に戻りつつあるようにも思うが、現地に新型コロナウィルスを持ち込んでしまうことを考えると、渡航は控えるべきであると現時点では判断している。 可能な限り、文献調査を進めるが、他方、日本国内での調査を継続して行うこともしながら、新たな研究視点を模索していく予定である。
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