採用4年目となる2022年度は4月から7月までの活動となった(採用期間中に出産・育児を理由とする研究中断があり、その延長分となる)。この3ヶ月間、以下の活動を行なった。 (1)東京工業大学の第二外国語履修者を対象とした、スペイン語の初級教科書『ミカサ・トゥカサ』(朝日出版社)の共著者を務めさせてもらった。(研究会ともいえる)合同授業で、言語学や文学、人類学を専門とする先生方からスペイン語文法やラテンアメリカ先住民言語について多くを学ばせてもらい、スペイン語文法・先住民言語への理解を深めることができた。近年、シピボの若者の間ではスペイン語を使う機会、そして独特な言い回しも増えている。そうした状況にあって、言語学的な分析を学び、対象言語への学びを深めることは、本研究のテーマである「先住民の人びとの生業・生活の実態に迫る」ために非常に有効であると再認識するに至った。本研究は今年度で終了となるが、今後におよんで本研究を発展させていくためのひとつの方向性として、「言語を通して社会や文化を分析する」という土台を多少なりともと築けたと考えている。 (2)2022年度は、延期としてきた海外でフィールドワークの実現を期待していたが、国内の新型コロナの感染状況、および、渡航先の受入研究機関の都合から渡航を諦めざるえなかった。その代わりに、昨年度に引き続き、国内での農山村地域(主には山梨県内)で生業(農耕・狩猟)に関するフィールドワークを行ない、調査方法の見直しを行った。調査方法は、地域あるいはだれを対象とするか、そして、何を明らかにしたいかによって変わってくるが、その再検討を行うことができたと考えている。今後の研究に活かしていきたい。
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