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2019 年度 実績報告書

乳がん細胞における免疫チェックポイント回避機構の分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19J40055
研究機関九州大学

研究代表者

弓本 佳苗  九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(RPD)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
キーワード免疫チェックポイント
研究実績の概要

乳がんは、女性のがんの中でも罹患率がトップであり、その罹患率や死亡者数は増加の一途をたどっている。乳がん患者においても世界で抗PD-1/PD-L1抗体などの免疫チェックポイント阻害剤を用いた臨床治験が進められているが、他のがんと同様に奏効率は20%前後と高くはない。これに対し、他の免疫療法や化学療法との併用が「場当たり的に」考案・検討されているものの、強烈な副作用を伴う例が少なくなく、劇的な改善を示した例は未だ知られていない。
また、免疫チェックポイント阻害剤に代表される抗体医薬を用いた治療は薬価が高額となるため、治療が有効な患者を選択するためのバイオマーカーの発見が急務である。免疫チェックポイント阻害剤に対してはこれまでに、腫瘍細胞のPD-L1発現量 がん細胞のゲノム変異量 、免疫細胞の腫瘍内浸潤量等が検討されているものの、いずれも有効な選択はできず、より明瞭なバイオマーカーの発見が求められている。
申請者らはまず、マウス乳がん細胞においてPD-L1の発現量を確認した。すると、4T-1細胞にはほとんどPD-L1が発現していなかったのに対し、E0771細胞にはわずかながらPD-L1の発現が確認できた。このため、スクリーニング系としてE0771細胞を用いることを選択した。次に、CRISPR/Cas9系を用いてPD-L1をノックアウトしたE0771細胞を作製した。FACSにより、完全にPD-L1が欠損していることを確認した。
同時に、申請者らがこれまでに悪性黒色腫細胞で発見した免疫チェックポイント回避経路が乳がん細胞でも働くかどうかの検証のため、。乳がん細胞E0771に、悪性黒色腫細胞B16F1で見つかったものと同じ変異を導入した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画通り、移植系の確立および悪性黒色腫の比較用のベースとなるマテリアルの作製に成功している。

今後の研究の推進方策

作製したPD-L1欠損E0771細胞をレンチウイルスベースのCRISPR library処理により細胞に変異を導入する。また、前年度に確定した方法でがん細胞をマウスに移植し、回収した細胞を再度マウスに移植して、本当にPD-L1阻害耐性を獲得したかを確認する。PD-L1阻害耐性が獲得された細胞について導入されたCRISPR配列を解析し、耐性獲得の原因遺伝子を決定する。また、PD-L1阻害耐性が獲得された細胞についてRNAseqや当研究室で独自に開発したタンパク質の絶対定量をおこなうことで、耐性獲得に至るための原因経路の検証をおこなう。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Recent insight into the role of FBXW7 as a tumor suppressor2020

    • 著者名/発表者名
      Yumimoto Kanae、Nakayama Keiichi I.
    • 雑誌名

      Seminars in Cancer Biology

      巻: 67 ページ: 1~15

    • DOI

      10.1016/j.semcancer.2020.02.017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SCFFbxw7 ubiquitylates KLF7 for degradation in a manner dependent on GSK‐3‐mediated phosphorylation2019

    • 著者名/発表者名
      Sugiyama Shigeaki、Yumimoto Kanae、Inoue Ippei、Nakayama Keiichi I.
    • 雑誌名

      Genes to Cells

      巻: 24 ページ: 354~365

    • DOI

      10.1111/gtc.12680

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Potentials of C‐C motif chemokine 2-C‐C chemokine receptor type 2 blockers including propagermanium as anticancer agents2019

    • 著者名/発表者名
      Kanae Yumimoto, Shigeaki Sugiyama, Koshi Mimori, Keiichi I. Nakayama
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 110 ページ: 2090~2099

    • DOI

      10.1111/cas.14075

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] がん細胞が抗PD-1/PD-L1免疫治療を免れるための分子経路の探索2019

    • 著者名/発表者名
      弓本 佳苗、中山 敬一
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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