研究課題
がんの超初期段階においては、少数の変異細胞が正常細胞に囲まれて存在することになる。この状況において正常細胞と変異細胞の境界では、競合的相互作用が生じた結果として、変異細胞が頭頂側 (体外に相当する) に逸脱・排除される。申請者はこれまで、この抗腫瘍作用の分子・形態メカニズムを明らかにするために、正常細胞とRas変異細胞の細胞間接着部位に着目した詳細な電顕観察を行ってきた。その結果、正常細胞とRas変異細胞の境界では、cdc42-FBP17経路を介した特徴的なfinger-like protrusionが正常細胞と変異細胞側の両方から伸長し、これが正常-Ras変異細胞間の相互認識の仕組み ‘protrusion to protrusion response’ として機能する可能性が示唆された。次に、finger-like protrusionの微細構造学的特徴をさらに理解するため、これまで行ってきたX-Y切片の解析に加えて、X-Z切片を観察する手法を確立し、正常-Ras変異細胞境界の細胞膜の形態について定量解析した。Finger-like protrusionは、頭頂側の密着結合の領域を除いて、細胞間接着部位全体に渡って形成されており、細胞膜の波打ち度合いやfinger-like protrusionの頻度については、X-Y切片における結果と同様の傾向が認められた。さらに、finger-like protrusionのその他の特徴について調べたところ、正常-変異細胞間と、正常細胞に囲まれた変異細胞間において細胞非自律的に形成されるfinger-like protrusionは、幅が細い傾向にあることが分かった。また、finger-like protrusionの領域にも細胞間接着構造が維持・形成されていることを反映して、細胞接着構造の配向が変化することも明らかになった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)
Current Biology
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