研究課題
本研究の目的は、神経性痩せ症予防プログラムの開発に向けて、その基盤となる科学的知見を創出することであった。実験では、神経性痩せ症患者を対象に4週に渡ってマインドフルネスを用いた介入プログラムを実施し、介入前後で機能的磁気共鳴画像(functional magnetic resonance imaging: fMRI)による検査を行い、不安を誘発する刺激を用いた感情調節課題施行中の脳活動の変化を検討した。その結果、マインドフルネスに関連する脳領域として先行研究で示されてきた領域と一致する複数の領域において脳活動の変化が確認された。この結果からマインドフルネスを用いた介入によって、神経性痩せ症患者の感情調節機能が適応的に変化することが示唆された。活動性の低下が示された領域に関して先行研究から示されてきた機能的役割を考慮すると、マインドフルネスに基づく介入が、自己関連思考や強迫観念の減少とともに、不安の喚起(arousal)を減少させることが考えられた。したがって、マインドフルネスに基づく介入は、神経性痩せ症患者が思考の反芻によって大きな不安を抱えている状態から脱することを助ける有力な介入であることが示唆される。これらの知見は、神経性痩せ症予防プログラムの開発の礎となるものである。本研究の成果は、国内外の学会での発表を終え、国際誌での掲載に向けて論文執筆中である。また副次的な成果として、神経性痩せ症患者を対象とした、注意制御に関するfMRI研究、および脳構造に関する研究を国際誌にて発表した。これらの研究は、神経性痩せ症患者の注意制御の困難性や、低体重、低栄養による脳の器質的変化の特徴を示したものであり、これらの知見も、神経性痩せ症予防プログラムの開発に寄与するものである。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
BJPsych Open
巻: 7 ページ: 1-7
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Psychiatry Research: Neuroimaging
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http://www.tedi.med.kyoto-u.ac.jp