水田の雑草である水生植物ウキクサは、繁殖力が旺盛で種子を介さない栄養繁殖で次々に新しい個体を増殖させることから扱いやすく、また水質浄化の指標植物として利用されている。本研究課題では、水田においてウキクサの栄養繁殖・生殖繁殖過程に影響を及ぼす細菌を探索し同定することを目的としておこなった。今年度は、昨年度に引き続き、無菌ウキクサに有機栽培水田と慣行栽培水田の土壌水に含まれる微生物をウキクサに共生させたとき、栄養繁殖時のウキクサに共生する微生物の変化について時間を追ってサンプリングしたものから16sRNA遺伝子を用いて、細菌叢のアンプリコン解析をおこなった。さらに、微生物を可視化することにより、ウキクサ根が形態を変化させる過程で、共生微生物が根にどのおように分布しているかについて経時的に観察を行った。 また、イネ根が共生微生物を誘因するために、根から有機酸を分泌していることが知られているが、ウキクサでは有機酸とは異なる分泌物質が出ていることを明らかにした。これが、共生微生物の誘因に関わっているかどうかについては今後明らかにしていきたい。
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