研究課題
メンブレントラフィックの中心的制御因子であるRabファミリータンパク質は、輸送小胞の出芽・移動・融合を制御することで積荷因子の細胞内の適切な目的地への供給を可能にしている。60種類以上ある哺乳類のRabの中でも、Rab35は選択的リサイクリング経路の制御に加え、細胞分裂、細胞移動、アクチン重合、免疫シナプス形成など様々な機能を持つことが知られている。なかでも神経系においてRab35が神経突起伸長、神経伝達物質の放出やエクソソーム分泌など様々な神経機能に関与することが報告されている。また、近年ではRab35が癌や神経変性疾患に関与する可能性が示唆されているが、これまで哺乳動物個体におけるRab35の生理機能は明らかにされていない。そこで、本研究課題では各種神経系特異的 Rab35欠損マウスを作製・活用し、哺乳動物個体の脳構造および高次脳機能におけるRab35の生理機能とその制御機構の解明を目指す。前年度はRab35欠損が与える脳組織形態と機能への影響を調べるために、脳領域特異的なコンディショナルノックアウトマウスの脳組織形態の観察と行動機能解析実験を行い、組織形態と脳機能の一部に異常を認めた。今年度は得られたノックアウトマウスの表現型に関して、分子メカニズムを解明するために質量分析による関連脳領域のタンパク質発現の変動解析を行った。その結果、組織形態異常に関係する候補タンパク質を得ることに成功した。今後、より詳細な分子メカニズムの解析を行うことでRab35が脳組織形成に果たす役割を明らかにする。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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