研究課題
本研究では、分子系の超高速電子・スピンダイナミクスを記述するために、3項間漸化式に基づく高速で高精度な電子状態ダイナミクスの非経験的理論計算手法を開発し、希土類分子における超高速電子・スピンダイナミクスのメカニズム解明に取り組むことを目的としている。第三年度である今年度は、昨年度から継続して、理論計算手法の開発と、希土類分子や希土類錯体についての理論的研究を行った。交付申請書の研究実施計画からは少し変更し、希土類錯体についての理論的研究について特に重点的に取り組んだ。理論計算手法の開発として、3項間漸化式法による高精度な電子状態計算の効率化を実現するために、3項間漸化式法の虚時間発展への拡張と実装したプログラムの検証を行った。希土類であるセリウム(Ce)、ユーロピウム(Eu)やテルビウム(Tb)を含む錯体に関する理論的研究として、希土類錯体の発光・消光に至るエネルギー移動過程の解明に取り組んだ。希土類錯体の発光・緩和過程では、まず配位子が励起し、項間交差により配位子が1重項から3重項に変化した状態を経て、配位子から希土類にエネルギー移動した状態から発光するとされている。昨年度までに、これらの状態に加えてEu錯体におけるLMCT状態の関与する可能性を検討してきたが、今年度はさらに、配位子のスピンと中心金属のスピンが平行な状態と反平行な状態についても検討した。また、新規錯体合成のための理論計算による配位子のスクリーニングにも取り組んだ。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Mathematical Chemistry
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