研究課題/領域番号 |
19K00008
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
飯嶋 裕治 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (80361591)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 規範の理解 / 規則のパラドクス / 規範全体性の了解 / ジョン・マクダウェル / チャールズ・テイラー / 和辻哲郎 |
研究実績の概要 |
まず、研究計画に示した手順1「和辻の倫理学理論に見出される行為論の提示」に関わる成果として、国際日本文化研究センターの共同研究報告書である『東アジアにおける哲学の生成と発展──間文化の視点から』(法政大学出版会、2022年2月)に論考を寄稿した(「和辻哲郎の倫理学の出発点──大正期のニーチェ解釈との関連性から」)。 また、手順2「和辻の行為論を現代の議論状況の内に位置づける」および手順3「知覚と行為に横断的に関わる概念能力として の「徳」の探究」に関しては、その研究成果を『規範と人間』というタイトルの著作としてまとめるべく、原稿執筆を進めてきた。全4章の計画だが、今年度までに第1章「規範と行為」と第2章「規範の理解」(および第4章の一部)がほぼ完成している。なお今年度は東京大学大学院総合文化研究科で客員准教授としてオンライン授業を担当したが、この著書の草稿を用いた講義を行ない、参加学生からの様々な質問・意見を受けることで、原稿をブラッシュアップすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はサバティカルを取得し、東京大学大学院総合文化研究科で客員准教授として研究活動に集中して取り組む計画だったが、新型コロナウィルスの感染状況や家族の事情により、現地に行って研究することは断念せざるを得なかった。ただし、オンライン授業という形で、先方の学生たちと有意義な研究上の交流を持てたため、著書の執筆を一定程度は前進させることができたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの感染状況等の事情により、研究の進捗に多少の遅れが生じてしまったため、補助事業期間の延長を申請し承認を得ることができた。 改めて本研究課題の最終年度となる2022年には、その最終的な研究成果として、著書(『規範と人間』)の原稿を完成させ、出版への目処を付ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
サバティカルに伴う出張費・滞在費の支出を見込んでいたが、新型コロナウィルスの感染状況等を考慮してすべて取りやめたため、その分の予算を丸々使うことができなかった。2022年度は、事態が落ち着いた場合は改めて出張費用として使用し、それが困難な場合には、主に研究成果を発表するための用途に用いる予定である。
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