研究課題/領域番号 |
19K00009
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐藤 岳詩 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (60734019)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メタ倫理学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、メタ倫理学と規範倫理学の関係を、主にメタ倫理学の側から明らかにしていくこと、あるいは逆に応用倫理学の研究から検討していくことを通じて、明確にすることである。 それにともなって、本年は主にメタ倫理学上の研究として、「非認知主義をめぐる論争」(蝶名林亮編『メタ倫理学の最前線』所収,勁草書房,pp. 219-246, 2019年9月)という論文を執筆した。ここでは現代の多様な非認知主義および認知主義の拡がりについて検討した。また、「倫理学における真理と誠実さ バーナード・ウィリアムズ ~ Truth and Truthfulness によせて 」(第34回 新潟哲学思想セミナー 2019年9月12日 於新潟大学)という研究発表を行った。この発表では、従来、あまり省みられてこなかったウィリアムズの晩年の著作に焦点を当て、倫理学における真理の扱いについての検討を行った。この内容は2020年度、著作の一部として公表する予定である。 また、応用倫理学上の研究として、「ベネターの反出生主義における「良さ」と「悪さ」について」(『現代思想 2019年10月)という論考を発表した。ベネターの理論はメタ倫理学上の議論から、応用倫理学の議論を展開しているものであり、その両者を検討することで、反出生主義自体、そしてまた、メタ倫理学と規範倫理学、応用倫理学の関係についての示唆を得た。また、「スポーツにおけるドーピングの悪さについて」(関西倫理学会2019年度大会シンポジウム「スポーツと倫理」 2019年11月10日 於同支社大学)という研究発表も行った。これは、運動パフォーマンスを増進する薬物を、スポーツの大会において用いることの是非を論じたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタ倫理学と規範倫理学の関係を、主にメタ倫理学の側から明らかにしていくこと、あるいは逆に応用倫理学の研究から検討していくことを通じて、明確にするという本研究の計画に照らして、初年度はメタ倫理学ならびに応用倫理学双方の側面から複数の研究成果を出すことができた。また、19年度中に入稿を終え、20年度に発行予定の論文もこの他に2本ある。そのため、研究は全体としておおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
二年目も引き続き、メタ倫理学、応用倫理学双方の側面から規範倫理学との関係を検討していく。特に本年度は、昨年度から準備してきたメタ倫理学から規範倫理学を検討する旨の書籍の出版を予定しており、まずはそちらに注力していきたい。半面、現在の新型コロナウイルス流行の影響により、海外の研究会への参加が難しくなっていることから、3年目に向けた準備の点で少し遅れが出ることが予想される。
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