本研究課題は、「メタ倫理学と規範倫理学はいかにして再接続しうるか」という問いの元に、分断が進んできた両者を架橋する方途を探求することを目的とするものであった。研究を通じて、メタ倫理学の規範倫理学からの中立性を説いた側の理論やそれを批判する論者らの議論を検討してきた。 四年間の研究を通じて、メタ倫理学が規範倫理学から完全に中立であるということは難しく、そもそも倫理とは何かということの内容レベル、形式レベル両面の理解が、それぞれのメタ倫理学的な前提にも大きく影響していることが明らかになった。さらにそれらは最終的に応用倫理学の個別の場面に対しても影響を与えることが示された。
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