研究課題/領域番号 |
19K00015
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
松本 由起子 北海道医療大学, 心理科学部, 講師 (10438335)
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研究分担者 |
野々村 淑子 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (70301330)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 家族史 / 精神分析 / 子ども史 / エディプス / 母子関係 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、1910年ごろから第二次世界大戦後までのイギリスにおける精神分析の実践と理論のうちに、近代西洋の規範的家族像がどのようにとりこまれており、どのように規範として機能し、どのようにその規範を強化することになったかを具体的に示すことで、精神分析の動向を、近代家族史のうちに歴史化することにある。
本年度は、(1)子どもを「家」と結びつける規範の成立をめぐって、子どもにとって「家」の対極とみなされた「都市」の「通り/ストリート」にいる19世紀ロンドン貧困階級の「ストリートチルドレン」の「救済」を、規範的家族像を強化する装置として機能した「郊外」の住宅地の成立と関連づけて、「スラムの野蛮人を救済する」(『中央評論』(中央大学))で示し、(2)フロイト派精神分析が、第二次世界大戦後に強い影響力を持った、家庭における24時間体制での母親による育児を推奨する「ボウルビーイズム」/「愛着理論」にどのように関与したのかを、戦間期からの、しばしば子どもにフォーカスして家族に介入する医療・福祉・教育にまたがるネットワーク、すなわちジャック・ドンズロのいう「保護複合体」の形成過程と、そこへの精神分析の関与を検討し、愛着理論の成立過程として示せることを、次年度刊行の『医学が子どもを見出すとき』(勁草書房。23年5月現在出版社校正中)をめぐる継続的な研究会で発表・議論し、「保護複合体と愛着理論」として記した。
(2)は、精神分析が規範的家族像の拡散に関与したことを示すが、一方で、1920年代からの、おもにメラニー・クラインによる児童分析の展開は、それとはまた異質の子ども像をとらえている。したがって最終年度となる23年度には、1939年のフロイトの死後、理論的相続をめぐって生じた精神分析界をほぼ二分しての「論争」を手がかりに、精神分析と規範的家族像との関連を、より細かく具体的に示す必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外の研究協力者の招聘を含む共同研究を予定していたため、本研究はCOVID-19によって大きく予定を狂わされ、まだ招聘に至っていないという点ではその事実に変わりないが、本研究で主張する論は22年度にほぼ完成したことから、おおむね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる23年度は、22年度中に構成した論を、共同研究者、研究協力者とともに精査する段階になる。研究会、セミナーの開催を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19をめぐる状況から、オンラインでの開催を避け、海外研究協力者を招聘して行いたいということで合意を得ているセミナーの開催時期を睨んで、実施用の資金を残して研究期間の延長を申請したため。
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