研究課題/領域番号 |
19K00017
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山本 剛史 慶應義塾大学, 教職課程センター(三田), 講師(非常勤) (20645733)
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研究分担者 |
吉永 明弘 法政大学, 人間環境学部, 教授 (30466726)
熊坂 元大 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (60713518)
小松原 織香 関西大学, 文学部, 特別研究員(PD) (20802135)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 環境正義 / 環境徳倫理学 / 民衆 / 水俣病 / チェルノブイリ原発事故 / 福島第一原発事故 / ファストファッション |
研究実績の概要 |
本年度、研究代表者は本課題の中心である2019年の福島出張の聞き取りを基にした書籍の執筆に専念した。したがって本年度の業績は研究分担者によるものが中心である。 吉永と熊坂は、他の研究者と連携して食農倫理学の研究の現状をサーベイする課題に取り組んだ。その成果は、『環境倫理』第4号に掲載された。また熊坂が、本研究課題が重視する環境問題に奮闘する市井の人々の思想の解釈に深く関連する環境徳倫理学の研究に際し、ロナルド・サンドラー『環境徳倫理学』を翻訳刊行したことは特筆に値する。翻訳出版を契機に、研究発表も行っている。 吉永は昨年度翻訳刊行したシュレーダー=フレチェット『環境正義』の内容に基づき、神宮外苑再開発問題をはじめとする国内の個別の環境正義問題への提言、発言を、Webマガジンを中心に行った。環境正義問題も、生存環境やアメニティを脅かされる市井の人々に関わる問題であり、吉永の成果も本課題の趣旨に沿うものである。 原発問題に関連して、吉永の所属する法政大学と本課題とで共働し、チェルノブイリ原発事故後にベラルーシで延べ7000人の甲状腺がん患者の外科治療を行った現松本大学学長の菅谷昭氏を招いて講演会を実施した。当日は多くの聴衆の参加を得、また、脱原発実現の重要性の主張をはじめとして、菅谷氏の体験を踏まえた福島原発事故後の状況への提言も得ることができた。 小松原は学振研究に従事している関係で、在外研究を継続した。現地にて、ファストファッションの倫理問題や水俣病患者にみる現代日本のアニミズムに関する研究報告のほか、宮崎駿のアニメーションを通した環境教育の可能性を探る論文を執筆するなどした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1つは、研究代表者の家族に不幸があり、その前後に終末期医療及び葬祭等にほぼ専念せざるを得なかったこと、次に各大学におけるコロナウィルス禍対応が継続し、オンライン授業と対面授業の両方の準備をせざるを得なかったことから、2022年度で完了する予定だった本課題を完了できなかった。 2023年度4月現在、本課題の主要成果となる予定の書籍本文の執筆はほぼ終えており、今後は出版社との協議によって校正に入る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況にも記した通り、2019年度に実施した福島県浜通りで原発事故がもたらした諸問題と格闘している方々の聞き取りをほぼすべて採録し、加えて「環境倫理学と民衆に根差す思想の応答」という題目に即した論考を聞き取りを踏まえて付け加えた書籍の出版を、今年度上半期中には行える見通しである。 さらに、原発事故に関連する環境倫理学、ないしは哲学・倫理学の貢献が事故後10余年経った今でも少ないことに鑑み、学術雑誌『環境倫理』第5号と第6号にて、国内で原発事故に関心を有する複数の研究者に原稿執筆を依頼し「福島原発事故と環境倫理学」という特集を組んで世に送り出す予定である。そのうち、第5号については原稿の提出と校正をほぼ終えており、近日中に完成し、各大学の研究者を中心に配布することができる。 第6号については5月末日を原稿提出第1次締め切り日として、6月以降に編集に入り、今年度中の刊行を目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
言叢社から出版する予定の書籍の刊行を次年度に持ち越したため、その分の費用を確保する必要が生じた。それゆえ、研究代表者以下、今年度の使用をできる限り抑制した。
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備考 |
全て吉永明弘による寄稿。
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