研究課題/領域番号 |
19K00024
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研究機関 | 大阪体育大学 |
研究代表者 |
吉沢 一也 大阪体育大学, 体育学部, 講師 (60711710)
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研究分担者 |
福田 宗太郎 大阪体育大学, 体育学部, 特定職員 (20761878)
西村 洋平 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (90723916)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 知性主義 / 非合理的欲求 / 知識、判断・信念 / ソクラテス / プラトン / アリストテレス / 新プラトン主義 |
研究実績の概要 |
今年度は、本課題のための研究会(古代道徳心理学研究会 AMPs)を4度開催し、以下の成果を得た。まず、初めの2回の研究会において、研究の具体的出発点を、「非合理的な欲求が行為決定に及ぼす影響」を古代の哲学者がどのように捉えているかを検証することに定めた。ここから、ソクラテスから新プラトン主義にいたる「非合理的な欲求/判断・信念/知識――行為」をめぐる哲学史的展開を考察することを試みた。第3回のAMPs(2019/9/9)において、この観点を局所的に検討しているBrickhouse and Smith, Socratic Moral Psychologyの批判的検討を行い、問題の共有を図った。これを踏まえ第4回のAMPs(2020/2/7)において、口頭発表「ソクラテスの行為における非理性的な動機付けについて」(吉沢)、「プラトン『メノン』におけるアクラシア問題」(福田)、「プロティノスの知性主義再考」(西村)を行った。さらに福田は古代哲学フォーラム(2020/3/21)において口頭発表「プラトン『メノン』におけるアクラシア」を行った。以上を「研究の目的」「研究実施計画」に即して説明すると、「ソクラテスの行為の正しさを条件づけるものと諸規範との総合的関係」を課題とする吉沢は、「非合理的な欲求」の含意と条件の明確化の検討を行い、「実践的な知のあり方、知性はどのように正しい行為を導くのか」を課題とする福田は、アクラシア問題を中心に、プラトンの『メノン』においては少なくとも行為の動機として非理性的欲求の存在は認められていないことを明らかにした。そして、「新プラトン主義の継承と発展」を課題とする西村は、ソクラテス的な知性主義が古代末期のプロティノスにも受け継がれていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記(研究実績の概要)に挙げたように、本研究課題のための研究会(古代道徳心理学研究会 AMPs)が適切に実行されており、また、現在も共同研究者間との実質的なコミュニケーションがとれており、おおむね順調に進展していると言える。西村は、上記の研究を踏まえた論考の、専門学術誌『古代哲学研究』への掲載が決定しており、これも今年度の研究の成果と考えられる。ただし、本年度に計画していた、専門家を招聘してのワークショップ開催はコロナ禍のため中止せざるを得なかった。これは状況を見て次年度以降に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨今のコロナ禍に対応するため、Google Meetを使ったオンライン研究会を予定している。当初、専門家を招聘してワークショップを行うことを計画しているが、これも対面方式が不可能であればオンラインで行うことを試みる。具体的には、3度のAMPsの開催と、1度のワークショップの開催を計画している。2020年8月、12月、2021年3月に(状況によってはオンライン上で)AMPsを開催し、各自取り組んでいる課題についての口頭発表を行う予定である。さらに、2021年3月にアクラシア問題とストア派、現代徳倫理学の専門家を招聘してワークショップを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
・注文していた海外書籍が年度内に配達されなかったため ・3月に研究者を招聘してワークショップを開催する計画が、コロナ禍で中止となったため
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