本研究は真理という基礎概念について改めて問い直すものであり、特に真理の多元論という立場の可能性が模索されている。一般に、真理といえば世界との対応、つまり《世界を正しく写しとっていること》を意味するものと理解される。しかし、そのような理解は物理学や化学といった自然科学については適切と思われる一方で、倫理学・数学・論理学といった学術領域および一部の社会科学についてはこの考えを維持することが難しい。本研究ではこうした学術領域にも適用可能な真理概念の理解を目指し、研究が実際にどのように進められ何をゴールとしているかという点から、これらの学術領域における《研究の正しさ》を多面的に理解することに貢献した。
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