研究課題/領域番号 |
19K00030
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
池田 丈佑 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (50516771)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グローバル倫理 / 国際関係論 / 難民 / 国内避難民 / 強制失踪 |
研究実績の概要 |
2020年度は、当初予定していた海外調査がコロナ禍の影響で実施出来ない状況が続いた。そのため、フィールドリサーチを中心とした「外在的限界」の検討を一旦措き、19年度の時点で一旦完了させた「内在的限界」の検討について、その分類と具体的発生形態を解明するという作業を新しく加え、研究内容を拡充することとした。今年度の成果は、英文書籍(共著)1冊、国内学会報告(英語)1本である。
英文書籍については、難民・国内避難民問題に対する平和構築についての理論的分類と検討であり、セカンド・オーサーとしてHenry F. Carey(ed.) Peacebulding Paradigms (Cambridge University Press 2020)の第17章を執筆した。この内容をさらに進め、「内在的限界」がどのような要因から構成されているか、またその結果どのような事象としてあらわれるかを検討したのが、2020年10月の日本国際政治学会における英文報告'Peacebuilding Paradigm Sustainable? A Critical Theoretical Inquiry through Forced Displacement'である。報告では、難民・国内避難民問題に対するグローバルな政策がもつ「内在的限界」を'normative breakdown'として類型化し、時間、主体、方法の3つの点でいかなる限界を抱えているのか、そしてそのような限界が、難民・国内避難民を扱う具体的な国際規範のどこに出現しているかを論じた。なお、本報告は、推敲後国際学術雑誌へ投稿の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の悪化に伴い、当初フィールドリサーチ先としていた南アジア諸国での調査が進んでいないためである。一方、「内在的限界」の研究については、当初の計画になかった分析と知見を、国内外で公表することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
19年度に予定していたスリランカ調査は、前述したコロナ禍の状況によりまだ実施が難しい。一方、代替として考えていた現地担当者のオンラインインタビューについても、現地(インド)でのコロナ禍対応が優先している状況である。ただしオンラインインタビューについては、人選がほぼ終わっており、21年度は質問紙を送付しての予備調査の段階に進みたい。一方、「内在的検討」に関する研究は当初以上の進捗であり、これまでの成果を論文にして投稿し、公表につなげることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度同様、コロナ禍によりフィールドリサーチが実施出来ないためである。本報告の時点で、調査対象国のすべてに「渡航中止勧告」が発令中である。
なお、昨年度報告において使用について具体的な方針を大きく4点示したが、第2にあたる「どの国から優先的にリサーチを再開するか」については、実際の渡航が難しいため、現時点では質問紙とオンラインによる調査に止めて実施する。それ以外については前年度より変わらないが、国際学会報告に関してはオンライン参加が可能であるため、主要な成果公表の一つに位置づけて重点的に実施する。
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