研究課題/領域番号 |
19K00033
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
吉満 昭宏 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (10585227)
|
研究分担者 |
浜崎 盛康 琉球大学, 人文社会学部, 客員研究員 (30208574)
大城 信哉 琉球大学, 人文社会学部, 非常勤講師 (20836259)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 道理性 / クリティカル・シンキング / 決疑論 |
研究実績の概要 |
本研究は、「道理性(reasonableness)」概念における「原理編」と「応用編」から成る。初年度(2019年)はその原理編では、論文の形となった成果こそなかったものの、(計30回を超える)読書会・研究会を通じて、道理性概念についての理解を深めることができた(例えば、研究会での議題を挙げると、「決疑論casuistryと妥協compromiseについて」(2019年6月14日:大城発表)、「三つの思考法の関係性について」(2020年1月21日:吉満発表)、「『理性への回帰』における「道理性(reasonableness)」と「合理性(rationality)」について」(2020年3月25日:浜崎発表))。また、ここでの成果は、吉満が担当した専門科目『哲学史』において、「合理性と道理性に焦点を当てた西洋の思想史」という形になって現れた。他方で、その応用編では「クリティカル・シンキング(「CT」と略)」と「決疑論(casuistry)」に関してそれそれ論文の形となって成果を出せた。前者では、ラリー・ライトの文献研究を通じて、CTにおける「発見(discovery)」と「正当化(justification)」の関係やCTにおける「理解(understanding)」と「能力(competence)」の重要性について知見を得られた。そして、理解と能力の概念を活かしたCTの構築が今後の課題となることも分かった。後者では、特にイギリス史上決疑論倫理学が最も隆盛を見たとされる17世紀ピューリタンに関する歴史的研究を通じて、決疑論概念の再検討およびこの種の道徳神学が倫理的主体の発生を促した可能性を考察することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は原理編と応用編からなるが、共に進展している(ただし、応用編の方が原理編よりも進展しているが)。しかしながら、当初予定していた「研究調査」ができなかったので、「やや遅れている」とする。
|
今後の研究の推進方策 |
・原理編での「道理性概念の比較検討」 ・応用編での「理解と能力の概念に基づくクリティカル・シンキングの構築」 ・応用編での「応用哲学の方法論としての決疑論」
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた「研究調査」が、諸般の事情により実行できなかったため。 よって、研究調査は今年度後期に行う予定である。
|