研究課題/領域番号 |
19K00042
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
櫻木 新 芝浦工業大学, デザイン工学部, 教授 (90582198)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 記憶の哲学 / コーパス調査 / 記憶概念 / アンケート調査 / 集合記憶 / 夢の記憶 / 記憶の帰属条件 |
研究実績の概要 |
2021年度も新型コロナ禍のために参加を予定していた対面での国際的な活動はすべて延期された。21年度に予定されていたグルノーブル・アルプス大学記憶の哲学研究所訪問、開催が予定されていた記憶の哲学についての国際会議(Issues in Philosophy of Memory 3)は開催地が変更され、22年度に延期となった。 他方、これらの対面での国際的研究活動の中止を受けて、渡航等の物理的な移動を伴わない研究を優先して積極的に行った。特に研究会参加はオンラインを積極的に活用したため、一定程度計画に従った進展を見ることが出来た。国外の共同研究者との研究打ち合わせやアンケート調査などはすべてZoomやインターネット調査を活用し、コロナ禍の影響を最小限にとどめることが出来た。 記憶概念の日英両言語の比較については、特に集合的記憶の概念についての国際協同研究に参加し、その中で一定の進展を見ることが出来た。共同研究者による欧米でのオンライン・アンケート調査と、その比較のための日本国内でのオンライン・アンケート調査の両方を終え、今後は結果を受けた検討にうつる予定である。 その他の文献調査、実験についても比較的順調な進展を見ることが出来た。文献調査に基づく発表の他、コーパス調査やオンラインでのアンケート調査の結果を、複数の学会で報告した。そのほか、学会発表を元に研究グループ等で報告し議論を重ねるなどかなりのフィードバックを得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は主に(1)前年度までの調査のまとめ、成果の報告とフィードバック、(2)日本語・英語の記憶表現の比較検討および、さらなる他言語との比較、(3)前年度までの成果を踏まえたコーパスやアンケートの調査、(4)これまでの成果の総合的評価と再調査の準備、を予定していた。 (1)比較的順調に進展した。複数の学会でそれぞれ別の研究成果について報告し、フィードバックを得ることが出来た。またそこでの議論を基礎に22年度8月の国際学会(Issues in Philosophy of Memory 3)での発表応募の原稿を仕上げた(22年5月に採択の連絡あり)。 (2)国際共同研究はZoomなどのオンラインツールの活用により、さほどの影響なく進展を得ることが出来た。集合的記憶に関する日英両言語話者の直観に焦点をあてた比較アンケート調査を海外と日本国内でそれぞれオンラインで実施した。また、オンライン国際ワークショップ等への参加を通じて得た新しい視点から、日英両言語における記憶概念の比較を行った。 他方で英語以外の言語についての検討は、20年度から予定していたフランスへの渡航や開催予定だった国際会議が再度延期になったため、停滞を余儀なくされた。これらは22年度に予定している。 (3)当初、対面での実施を予定していた記憶概念の用法に関するアンケート調査であるが、上記の国際共同研究における共同研究者からオインライン調査のノウハウを得ることが出来た。共同研究の一環としてのアンケート調査の他、もう1件独自にオンラインでのアンケート調査を企画し、実施した。 (4)これまでの成果についての評価は、学会発表や研究会でのフィードバックを通じて一定程度行うことが出来た。ただし国際共同研究の成果の検討と再実験については22年度以降に共同研究者との対面での協議で更に深めることを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は20-21年の2年間延期してきた対面での国際会議参加や海外共同研究者との対面での議論を通じて、これまでの研究をさらに推進、深化することが主要な課題となる。 研究発表については、すでに国内外での研究報告の予定が複数組まれており、それらの報告内容の準備も進めている。これらの研究発表とフィードバックを踏まえ、必要な再実験の検討や、論文の執筆につなげてゆく。 海外渡航など国際的な研究活動の推進についても、複数の予定が組まれている。6月に予定しているグルノーブルアルプス大学記憶の哲学研究所訪問では、これまでの研究成果を報告すると共に、研究集会に参加し関連領域の研究者との議論を深める予定である。特にフランス語やその他ヨーロッパ言語との比較についての知見や強力を得ることを期待している。その他にも、21年度から22年度8月に開催が延期された国際会議(Issues in Philosophy of Memory 3)での研究報告が決まっており、ここでもフィードバックが期待できる。秋には本研究に関する共同研究者の一人、記憶の哲学研究所所長Kourken Michaelian教授を外国人招へい研究者として受け入れる予定となっており、研究集会開催など、様々な議論の機会を企図している。これらを通じて、これまでの研究成果をインフォーマルにも共有し、より多くのフィードバックや研究への協力を得る機会とする計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に予定されていた海外渡航が延期されたため。これらはすべて2022年度に実施予定。
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