本研究の目的は、非対称戦争においてドローン兵器を使用することの道徳的是非を、〈必要性〉に照らし合わせて分析・評価することである。その成果として、1)次悪の追求を本質とする〈必要性〉の考慮は、正戦論者とリアリストにとって共通の道徳的基盤となっていることを確認した。2)非対称戦争のもつ構造的側面を注視してもなお、〈必要性〉の観念から〈区別〉原理に根本的な変更を加える決定的な理由は見出せないことを明らかにした。3)捕獲や投降、その他の無力化により、攻撃者が不必要な殺傷を避けつつ当初目標を達成する余地も広がることで、交戦者間の徹底的な非対称性は戦闘行為そのものの〈必要性〉を変化させることを論証した。
|