研究課題/領域番号 |
19K00054
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宇佐美 文理 京都大学, 文学研究科, 教授 (70232808)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中国絵画論 / 題画詩 |
研究実績の概要 |
研究当初から行ってきた、東京国立博物館所蔵絵画調査ならびに東博所蔵絵画題跋の調査と会読研究は、コロナ禍により調査ができなくなったものの、会読研究はZoomによって引き続き行った。具体的には、2020年6月6日、7月18日、8月22日、9月21日、10月25日、11月29日、12月19日、2021年1月24日、2月21日、3月21日、の10回である。会読には、2019年度同様、東京大学准教授塚本麿充氏、東京国立博物館研究員植松瑞希氏をはじめ、東京大学の大学院生等が参加して行われた。対象とした東博所蔵題跋は、鄭思肖「墨竹図巻」李公麟「五馬図巻」陳淳「花卉図巻」禹之鼎「城南雅集図巻」などである。なお、昨年度と同様、他の絵画関係の文章の会読もあわせて行っており、本年度後半から、内藤湖南の画跋を読み進めている。それぞれ、画像については電子データを用いたが、次年度には、コロナ禍がおさまれば、現物を調査する予定である。また、平行して行ってきた泉屋博古館所蔵作品の題跋研究会は、2020年9月6日、10月24日、11月23日、12月27日、2021年2月27日の5回、やはりZoomで行った。泉屋博古館所蔵作品の題跋は、八大山人安晩帖について、これまでに研究会メンバーで作成してきた訳注をまとめたが、公表には至っていない。また、東博での研究会と同様に、内藤湖南の画跋を読み進めた。なお、個人的には杜甫の詩などを読み進めつつ、題画詩を、詩と絵画における「意味」の付与と「意味」からの解放、という観点からとらえなおす論考を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所期の研究会は、東京のメンバーを中心としたものは、コロナ禍にもかかわらず10回開催できており、作品調査が実視により行えなかったことは残念だが、充分な成果が上がったと思われる。関西のメンバーを中心としたものは、研究会の回数こそ少なかったが、『安晩帖』については既に全作品の訳注ができあがっており、大きな成果であると考える。個人の研究は、上記のように、題画詩に関する新しい見通しが見いだせたことにより、論考の準備にとりかかれており、順調に進んでいるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
東京、京都で行っている研究会は引き続きこのまま、おおよそ毎月開催を目途に、継続して行っていく予定である。コロナ禍が収束すれば、これまでに読んできた題跋の書いてある作品を実見調査することを予定している。関西の研究会は、一旦中断して、内藤湖南跋のみの研究会が続いているが、泉屋博古館収蔵作品題跋の読解は五月から再開することが決まっており、順次そちらも進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
東京までの旅費が主な使途予定であったが、コロナ禍により東京に行けなかったため。
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