研究課題
基盤研究(C)
中国の絵画について語られた詩(題画詩)が、その絵画とはまた別の世界を構築していることについて考察を加えた。具体的には、東京国立博物館ならびに泉屋博古館の所蔵品について検討を加えるとともに、特に杜甫の詩に注目をし、杜甫の詩の風景表現がどのような意味を持つのかを考察すると同時に、杜甫以後の山水画と題画詩の展開にも新たな見解を示した。
中国哲学
これまで、風景をうたう中国の詩は、それをうたう詩人の心情と風景描写にはなんらかの関連があるものと考えられてきた。しかしながら、杜甫の詩にはその関係が「心情と風景の一致あるいは関係」では解釈できないものがあることはこれまでも知られていたが、その「意味」については語られることはなかった。本研究ではそれを詩人の感情の増幅作用にあることを指摘し、中国詩の解釈のあり方に新たな一面を見いだした。