辜鴻銘の東西文化論を検討することが本プロジェクトの課題であった。辜鴻銘については在日時期の講演活動や欧文で発表した諸論説について検討を加え、中国大陸での最新の研究成果も参照し、論文を発表したことがある。辜鴻銘は五四新文化運動時期に欧州留学から帰国し、北京大学で教鞭をとり、言論活動を行った。その意味で「新文化運動」の一翼を担っていたといえるが、辜鴻銘に対する学術的な評価は難しい。北京大学の同僚からも様々な評価を得ていたが、それらは「奇人」「古怪」といった特異な外見や奇矯な性格に左右されていた表面的なものであった。本プロジェクトではより広い視野から辜鴻銘を思想史的な位置づけることを目的とした。
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