研究課題/領域番号 |
19K00059
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
井内 真帆 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (90514323)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | チベット / 仏教 / 写本 / 文献 / 中世 / 後伝 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、昨今続々と発見または出版されている出土地や所蔵先は異なるがほぼ同時代の4つの文献群(【文献群 A】ダライ・ラマ 5 世の秘蔵書(9ー17 世紀)、【文献群 B】ポタラ宮殿所蔵文献(11 世紀以降ー?)、【文献群 C】 西チベット・プリ文献(10ー14 世紀)、【文献群 D】カラホト(黒水城)出土文献(11ー15 世紀))の調査研究と文献群の比較研究により、国内外のチベット史研究の中で最も手薄である9 世紀から13 世紀の時代について研究を行うための基盤作りを行うことである。 2020年度はコロナウィルスの感染拡大の影響で当初予定していた現地への渡航調査が全く行えなかった。既に入手している文献の整理(特に文献群A, C, D)を行い、中国やアメリカ在住の関係の研究者とオンラインで情報交換を行い、情報収集をするなど、できることは限られた。国内の学会や打ち合わせも2020年度の前半は中止になるなどしたが、その後、オンライン上で打ち合わせをするなど、オンラインでの環境が整った。そのような中、2020年度の成果として、文献群Cの中の「雷と雹を降らせる儀礼」に関して翻訳と研究を行ない、第69回日本印度学仏教学会において「雷と雹を降らせる儀礼-プリ文献の儀礼文献に関する研究-」のタイトルで口頭発表をし、『印度学仏教学研究』(69-1)にも同様のタイトルで論文として発表した。また、かねてより出版予定であった『チベットの歴史と社会』(岩尾一史、池田巧(編)、臨川書店, 2021)の中の論稿「皇帝家の失墜と仏教復興」が出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究ではチベット自治区、四川省成都、ロシアサンクトペテルブルクへ出張し、新出文献に関する文献調査及び情報収集、関係の研究者との情報交換を行うことを予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響があり2020年度は渡航が全くできず、研究が予定通りに進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響があり、本研究で予定していた海外調査や国際学会参加などは引き続き困難になることが予想される。したがって、今後も関係する先行研究の整理や既に入手している文献群の中の写本を中心に研究を行うことになるが、本研究にはチベット自治区での文献収集とロシア・サンクトペテルブルクのカラホト出土のチベット語文献に関する渡航調査は必要不可欠である。現時点では渡航調査は不可能であるので、引き続きオンラインで現地や関係の研究者と連絡を取り、今後調査を行うための準備を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で海外への渡航調査に加え、国内学会や国内での打ち合わせの多くが中止になったりオンラインになったため、旅費の使用ができなかった。2021年度も引き続き海外での調査は困難と思われるので、研究費の使用は主に物品や図書の購入を中心にし、2022年度以降に国内旅費と海外旅費として使用する。
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