研究課題/領域番号 |
19K00061
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
青木 洋司 國學院大學, 文学部, 准教授 (50780160)
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研究分担者 |
石本 道明 國學院大學, 文学部, 教授 (20212938)
西岡 和彦 國學院大學, 神道文化学部, 教授 (80348870)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 論語 / 四書 / 訓蒙 / 国字解 / 師説 / 朱子学 / 江戸漢学 / 経典余師 |
研究実績の概要 |
令和2年度に計画していた文庫等への調査は社会情勢の変化のため、実施不可能となった。そのため、当初の計画を変更し、『論語』訓蒙書の解題作成に重点を置き、研究を進めた。解題はZOOMを用いた研究会において討議した。研究会は3月末までに計10回開催した。 成果としては、小出永安『論語序説假名鈔』、毛利貞齋『正文大綱四書俚諺鈔』、渓百年『論語余師』、渓百年『経典餘師 四書序之部』、『改正四書字引』の計5種の解題が完成した。この他にも、『論語古訓正文假名附』『論語集解國字辯』の解題作成を進めている。 解題では、それぞれ、写真、書誌情報、先行研究、撰者、特徴を掲載している。特徴では、対象読者、作成目的、重要な学説に言及するように努めた。その結果、各解題は、それぞれに「訓蒙書」としての性格が明確となっている。また、研究会での討議を経て、「研究対象文献目録稿」「研究対象文献先行研究目録」「江戸期論語訓蒙書年表」の増補を行った。 令和2年度の重要な成果としては、代表的な『論語』訓蒙書である『論語余師』、『経典餘師 四書序之部』の解題の作成と、その成果を踏まえた「渓百年『論語余師』再考 ―『論語集注』との関係を中心として― 」(『國學院中國學會報』第66輯、2020)の公刊である。『論語余師』は広く読まれ、影響力も大きい。該書の研究を通して、江戸後期の『論語』訓蒙書の一端を明らかにできた。なお、webサイト「江戸期『論語』訓蒙書の研究」(http://kunmou.info/)では、渓百年『論語余師』(4巻4冊)を新規に公開し、その他の『論語』訓蒙書も公開の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記したように、令和2年度は社会情勢の変化のため、文庫等への調査は実施できなかった。そのため、研究計画を変更し、解題作成に重点を置き、計5種の解題を作成した。これらの解題作成において、新たに明らかになった事実は多い。その結果、「研究対象文献先行研究目録」や「江戸期論語訓蒙書年表」などを増補することができた。また、webサイト「江戸期『論語』訓蒙書の研究」(http://kunmou.info/)の更新やその準備も進展している。 従って、令和2年度としては、社会情勢の影響を受けたものの、おおむね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、令和元年度、令和2年度の成果を踏まえて、『江戸期『論語』訓蒙書の基礎的研究』の公刊の準備を進めたい。これまでの研究成果により、各『論語』訓蒙書の傾向、学問的系統、時代区分、対象読者層の広がりなど、明らかになった部分は多い。また、20種を超える『論語』訓蒙書の解題の作成を終えた。従って、令和3年度は、これらの成果をまとめつつ、一層の解題の作成、研究対象文献目録稿などの充実を目指す。この他には、「研究実績の概要」に記したように、webサイト「江戸期『論語』訓蒙書の研究」(http://kunmou.info/)の更新も進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、國學院大學大学院特定課題研究「江戸期『論語』訓蒙書の研究」(研究代表者:西岡和彦)と共同で研究を進めた。その結果、人件費の執行に関しては、2研究間で調整を行うことができた。また、社会情勢の変化のため、計画していた文庫等への調査は行えなかった。このため、次年度の使用額が生じている。令和3年度は、引き続き、江戸期『論語』訓蒙書の購入、webサイト「江戸期『論語』訓蒙書の研究」(http://kunmou.info/)の内容の充実を行う。なお、可能であれば文庫等への調査なども行う。
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