研究課題/領域番号 |
19K00062
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
倉西 憲一 大正大学, 仏教学部, 専任講師 (90573709)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学知基盤形成 / インド仏教最後期 / ヴィブーティチャンドラ / アバヤーカラグプタ学統 / ウドゥヨータ / ラトナラクシタ / パドミニー / サマーヨーガタントラ |
研究実績の概要 |
当該科研プロジェクト目的は、インド仏教衰退が顕著になった12世紀、いわゆるインド仏教の最後期を中心に、その時期に活躍した仏教学僧たちの著述活動に見られる文証としての引用に基づき、彼らの知識基盤の形成とその展開を解明することにある。特に、インド仏教の最後期の最も著名な学僧であるアバヤーカラグプタとその弟子筋の学統を研究対象としている。 今年度も、昨年度と同じく、アバヤーカラグプタの学統に名を連ねるヴィブーティチャンドラおよびラトナラクシタの著作を中心に研究を進めた。特に、ラトナラクシタの著作『パドミニー』の第8章および第16章の研究をおこなった。当該章は、『サンヴァローダヤタントラ』の第8章と第16章それぞれの註釈である。内容としては、第8章は修行者が儀式(ガナチャクラ)をおこなう際に、同じ系統の信仰をもつことを確認するためのサインやその意味が説かれている。そして、第16章は、五甘露と呼ばれる特殊な供養法の詳細が説かれている。なお、この研究は、大正大学綜合仏教研究所講師のバン・ジョンラン博士との共同研究である。成果は順次、発表予定である。加えて、当該科研の最初から従事しているヴィブーティチャンドラ著『ウドゥヨータ』の校訂、翻訳作業も進めている。 さらに、インド後期密教に大きな影響を及ぼした文献である『サマーヨーガタントラ』の研究も並行しておこなった。このタントラは、アバヤーカラグプタの学統の知識基盤を形成する文献の一つとしてあげられる。この『サマーヨーガタントラ』の翻訳研究を、駒沢大学の加納和雄先生、ライデン大学のピーター・ダニエル・サント博士、東京大学博士課程の伊集院栞氏との共同研究としておこなった。今年度は同タントラの第5章が刊行される(現在印刷中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該科研プロジェクトの目的であるアバヤーカラグプタ学統の知識基盤については、ヴィブーティチャンドラ著『ウドゥヨータ』およびラトナラクシタ著『パドミニー』の研究をすすめながら、成果を提出している。ただし、コロナ禍の中で予定していた専門家との研究会が開催できず、思うように成果を出版することができていない。こうした事情から、やや遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍も少なからず、収まってきていると考えられるので、実際に対面での研究会を開催することを予定している。そして、ヴィブーティチャンドラ著『ウドゥヨータ』の校訂テクストおよび試訳を完成させることを目指す。さらに、その研究過程で収集した同著作内の文証としての引用を精査し、知識基盤の実態を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度が当該科研の最終年度であったが、コロナ禍で研究が進まなかったこともあり、継続申請をしたことが次年度使用額が生じた理由である。 使用計画としては、コロナ禍が収束に向かっているようであり、当初予定していた関連研究者との研究会をおこなうことが主に挙げられる。さらに、滞っていた研究作業もおこない、最終成果を提出するためにも使用する。
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