研究課題/領域番号 |
19K00069
|
研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
|
研究分担者 |
大西 磨希子 佛教大学, 仏教学部, 教授 (00413930)
齊藤 隆信 佛教大学, 仏教学部, 教授 (20367981)
大内 文雄 大谷大学, 文学部, 名誉教授 (50103114)
西本 照真 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (50298022)
宮井 里佳 埼玉工業大学, 人間社会学部, 教授 (80290998)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 中国仏教 / 浄土教 / 道綽 / 『安楽集』 / 唐代 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは、中国浄土教に影響を及ぼした道綽の歴史的意義を明確にするために基礎的な研究を行うことを目的としている。研究期間終了後に主著『安楽集』の詳細な和文と英文の訳注およびその歴的背景と影響を明らかにする論文集を成果として刊行する予定である。初年度に当たる令和元年度において、①『安楽集』テキスト確定および研究史を把握するための資料調査、②訳注作成のための研究会開催、③論文集作成のための公開研究会開催という三点で活動を進めた。 ①『安楽集』のテキスト確定のために、現存する古写本・古刊本の調査を行い、可能な限り複写を入手し、研究分担者および協力者と共有し、訳注作成の際に定本および対校本として用いることができるようにした。また、道綽がいかに捉えられてきたかということを明らかにするために近代以前に著された『安楽集』の注釈書について大谷大学・龍谷大学・佛教大学・大正大学図書館の蔵書調査を行い、複写資料の収集を進めた。 ②訳注作成に向けて、研究分担者と研究協力者で構成される小規模な研究会を14回開催し、『安楽集』の本文の訓読・和訳・英訳および詳細な語註について議論し、確定していった。『安楽集』第一大門第六まで概ね確定することができた。 ③道綽の歴史的背景と影響を明確にする論文集作成のために主に研究代表者と研究分担者の発表による公開研究会を6回開催し、多角的に道綽と『安楽集』の意義について明らかにし、議論をした。 上記の三つの活動を通じて、当初立てた目標に着実に近づいている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の三つの活動の中で、③は予定通りに進んでいるが、①と②について当初の予定からやや遅れている。 ①の古写本調査について、入手可能なものは全て入手することができたが、重要なもの二点について、所蔵先より調査の許可が得られず、予想より時間がかかっている。 ①の近世以前の講義録調査については、所蔵調査は順調に進んでいるが、大谷大学の図書館に発注した複写が完成するまでに数ヶ月がかかり、進み具合が予定より遅れている。 ②の訳注研究会については、当初では9節からなる『安楽集』第一大門の最後まで進むことを予定していた。しかし、令和元年度の前期に開催した研究会において、全体的な方針を決めた際に、検討材料としているレジュメ作成の様々な取り決めを定めるために慎重な議論を重ねたために予定より遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の活動は基本的に上記の三点を継続する形で展開する予定である。 ①の資料調査は、引き続き、所蔵先と調整をしながら進める。閲覧許可に至っていない古本については許可に向けて調整する一方、令和元年度に既に入手した複写資料の詳細な調査を行い、現物確認が必要な箇所を整理していく。令和2年度中には、近世の講義録の資料入手を完了させ、明治期から戦前の研究資料調査に移行し、研究論文目録の作成に本格的にとりかかる予定である。 ②の訳注研究会は定期的に開催し、『安楽集』の原文を確かめつつ、和訳・英訳および語註を順に作成する。新型コロナウィルスの影響により、集まって議論をすることは困難になっているが、研究協力者によるレジュメ作成を続け、その結果を研究分担者と共有しながら、遠隔で作業を進めていく予定である。また集まることができるようになった時に多くの時間を割いて議論を重ねることも計画している。 ③の公開研究会について、令和2年度と令和3年度に、研究者に道綽の歴史的背景および意義を明確にする主題の発表を依頼し、公開研究会を開く。令和2年度の研究会として既に3名に発表を依頼しており、新型コロナウィルスの状況が許す限り、7月、9月、12月にそれぞれ一回、開催する予定である。なお研究期間中に発表を依頼する他の先生と発表内容についてはほとんど定まっているが、新型コロナウィルスの状況に鑑みつつ依頼と日程調整を進める必要がある。 以上のように現状に対応しながら、極力、当初の予定を変更せずに発行を目指している二冊の本の基本材料を揃えていくことを続ける予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
西本照真研究分担者は、武蔵野大学の学長を勤めており、当初では令和元年度中に三回、公開研究会に参加することを予定していたが、学長の業務を優先せざるを得ず、一回のみの参加となったので、令和2年度には分担金を減らし、令和元年度の残金を研究会参加旅費として使用するようにする。 また江戸時代の講義録の複写作業に時間がかかっており、令和元年度、複写費として使用する分を支払うことができなかった。令和2年度中に請求される予定なので、それに使用する予定である。
|