研究課題/領域番号 |
19K00075
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山下 博司 東北大学, 国際文化研究科, 名誉教授 (20230427)
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研究分担者 |
保坂 俊司 中央大学, 国際情報学部, 教授 (80245274)
竹村 嘉晃 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 外来研究員 (80517045)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | シンガポール / 宗教間対話 / 異文化理解 / 文化政策 / 国家経営 / 宗教政策 / 多文化共生 / 多元社会 |
研究実績の概要 |
令和2年度は新型コロナウィルスの蔓延にともない海外渡航に重大な困難をきたしたことから、所期の調査を実施することができず、研究活動全般に苦慮するところとなった。この状況下、基本的にはこれまでの調査蓄積に基づく研究成果の発表に重点を置かざるを得なかった。ただし、こうした制約の中で、各メンバーとも最大限の成果公開を実現することができたと考えている。 山下博司(研究代表者)は、本研究課題と関連するインドネシアのインド系ディアスポラの宗教実践にも論及した報告論文および宗教学会での個人表をおこなうとともに、宗教間対話・異宗教間理解を主要テーマとし、菅首相(開会スピーチ)が来場し、インドのモーディー首相など要人がビデオメッセージを寄せた日系ホールでの国際シンポジウム(日本経済新聞主催、外務省等後援)でモデレータを務めた。シンガポールの元外交官もスピーカーの一人となった本シンポジウムの模様は全世界にインターネット同時配信された。 保坂俊司(研究分担者)は、比較文明論的視座から成果公表をおこなったが、本課題に関連するものとして、融和思想についてや一神教・多神教の問題をグローバルな視点から議論した数編がある。 竹村嘉晃(研究分担者)は、年度中に一時ロンドンに研究拠点を移した。この成果は次年度以降に反映されてくることになるが、直近の関連業績として、インド芸能のグローバル化をめぐる論文と国際シンポジウムでの研究発表(シンガポールでのインドのドラム演奏についての分析)などがある。 市岡卓(研究協力者)は、現地調査をインターネットでのインタビューなどに切り替え、論文1本、学会発表2本に結実させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの蔓延で海外渡航が事実上不可能だったことにより、調査予定が実施できず、新知見の開拓に困難を強いられた一年だった。これまでの調査蓄積に基づく研究成果の発表に重点を置かざるを得なかったが、困難な中にあって、インターネットを利用してインタビューをおこなうなど最大限の工夫を凝らすなどして、成果に結びつけることができた。しかしながら、必要な再調査などを実施することができなかったため、論文執筆が保留になっていたり、論文内容が纏まり切れていない恨みが残ることになった。その点において次年度(最終年度)に課題を積み残すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
新年度(最終年度)も引き続き渡航に困難をきたすことが予想されるため、班員と相談しながら次善の策を講じることになろう。 研究環境の変化や滞った場合の対処として申請時の調書に記述したように、仮に研究の一部が未達成を余儀なくされる場合でも相応の成果公開が可能になるよう、考察内容・考察対象・調査先に優先順位を施し、成果発信に支障が生じないよう努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の蔓延により、当初予定していた旅費での使用が困難な情況となり、次年度使用額が生じた。しかも現地調査のための海外旅費を多く計上していたが、学術振興会の規程により、その5割までにか使途変更が利かなかったことで、次年度使用額が比較的多額になったものである。
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