(1)守護大内氏は所領をめぐる紛争を裁定したり、境内に禁制を下したりして、九州の山岳霊場の保護に努め、山岳霊場は祈祷による奇瑞を起こして大内氏に奉仕した。(2)同じ山岳霊場で「行」に従事する顕密寺院の中下層身分と組織外の山伏との関係について、高野山長床衆と東大寺法華堂衆の事例を検討した。山伏が中下層身分に加わるのと中下層身分が山伏に加わるのと両方向の運動により、本来は正統的な学僧が主導していた山岳霊場に修験道的な要素が増大して行った。(3)加賀一向一揆の担い手は、史料上の「百姓」、「土民」、「土一揆」という表現から判断して「村の侍」を含む多様な階層の農民たちと考えられる。
|